ヒデのおすすめ映画

May 26, 2006

映画「ミッションインポッシブル3《M:i:掘奸

M:i:3〈マガジンSCRAP NO.3〉
 
 5/5に、映画「ミッションインポッシブル3《M:i:掘奸廚全米で公開された。
 M:iシリーズは、僕の大好きな映画である。
 日本では、7/8公開。
 映画館で予告編を見るたびに、早く観たいなとワクワクしている。
 しかし前作兇呂い蹐い蹐斑,れ、今回の靴癲否定的な意見がわりと多いみたいだ。

 NEWSWEEK JAPAN 5/24号によれば、「M:i:掘廚僚桔興行収入ランキングは1位だったが、前作の兇鉾罎戮討癲100万ドルもダウンした、ということだ。
 記事によれば、観客のクルーズ離れは、彼が心酔する新興宗教サイエントロジーのせいであり、婚約者ケイティ・ホームズとの恋愛ではしゃぎ過ぎたためであり、もっと言えば、彼がすでに若者の心をつかめなくなったからだ、と断じている。
 「彼は43歳であり、もうクールな存在とは言えない」

 またある映画会社の重役は、「アメリカ人はトムを見限ったようだ。彼の神秘的な魅力は消えてしまった」と述べている。

−−−−−−−−

 「彼はアクション映画を卒業すべき」とか、「宗教的な宣伝をやめれば、何年かはスターでいられる」といった声もある。
 本国での彼の評判が本当のところどうなのかはわからないが、ちょっとあんまりじゃないか、という気がする。
 昔から僕は、彼の大ファンなのだ。

 しかし「3」を観た人の感想をネット上で読むと、やはり辛辣な意見が多い。
 にやけたクルーズ・スマイルと自虐ギャグだけが彼らしい、とか、今回の3はストーリーまでインポッシブルだとか、いっそのことシュワルツ・ネッガーをゲスト出演させたら面白くなったんじゃないかとか、言いたい放題である。

 どちらにしても、スターというのは辛いものだ。
 もともと彼が好きじゃないという人はともかくとして、それまで彼の映画を楽しんできた人も、彼の演技で感動させられてきた人も、あっという間にその反対の立場に回ってしまう。
 まあ別に彼に対して何か義理があるわけじゃなし、それはそれで何も悪いことではないのだが。

 僕としては、実際の映画がそれほどひどいものでなく、いつものように楽しませてくれることを祈るばかりだ。
 そしてどちらにしても、僕は断固としてトム・クルーズのファンである。
 7月8日が待ち遠しい。
 

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。



May 21, 2006

映画「ダ・ヴィンチ・コード」を観る

ダ・ 映画「ダ・ヴィンチ・コード」を、公開初日、夕方六時四十五分からの回を観に行ってきた。
 原作があまりにも有名だし、今回は回りくどいあらすじ紹介はなしで、さくさく行きます。

 僕の感想としては、まあまあそこそこ楽しめたかな、という感じだった。
 もともとの小説ファンとしては、やはり若干消化不良気味、という感じはいかんともしがたい。

 パンフに掲載されているインタビューでトム・ハンクス本人が述べているように、小説「ダ・ヴィンチ・コード」のその大きな魅力は、なんといってもその知的な探求、知的な冒険の面白さ、といった側面に負う所が大きい。

ダ・ヴィンチ「映画化するのはとても難しかったよ。僕やロン、アキヴァは、まるで困難な手術を行うような気持ちで映画化に挑んだよ」

 「ダ・ヴィンチ・コード」の面白さは、やはり小説ならではの面白さである。じっくりと細部まで掘り下げ、その歴史の舞台裏や因果について、「ふんふん」と興味深く時間をかけて読み進んでいく面白さ。読者の知的好奇心を満足させてくれるし、それらの連関が精密に謎解きに結びついてこそ、「ダ・ヴィンチ・コード」の真髄である。単純にミステリやサスペンス小説とくくってしまうと、もっと出来のいいよく出来た小説は他にいくらでもある、ということになる。
 そういったこの小説ならではの面白さを、時間的制約の厳しい映画の中で見せていくのは、そもそも最初から、ほとんど不可能に近い試みだったと言える知れない。それは昔「ジュラシックパーク」に感じたことでもあった。

03ダ・ヴィンチ 膨大な歴史的、知的記述と同時に、そこから生まれる人類の魂の歴史への考察、ある種の哲学的洞察や真理への探求、といった面が、小説に深みと、なんともいえない魅力を与えているはずなのだが、そういった原作にとって一番大切なはずのものがごっそりと抜け落ちてしまう。

 映画では、全体的にどうしても、駆け足のダイジェスト版という感じになってしまった。謎解きの面白さもほとんど感じられなかった。シオン修道会やダ・ヴィンチや、キリスト教の歴史についての話は、ただの説明ゼリフになってしまったように思う。
 小説のほうが、はるかに面白かったというのが、率直な感想だった。

08ダ・ヴィンチ 実際、”映画”そのものとしての出来はどうなのか、という点では、なかなか判断しづらかった。
 小説と映画は、そもそも別物であって当然だし、そういう意味で、小説と映画を比較しすぎるのはフェアではないかも知れない。
 では、一本の”映画”としての出来はどうなのか?

 そう考えてみたが、しかしやはり、原作を良く知っている以上、公平な判断は難しい。
 そこに描かれない部分についても、こちらとしてはすでに”知っている”し、描かれない部分についても思い出したり、頭に浮かんだりして、理解できてしまう。
 一つの物語として、何が描かれるべきで、何はすっとばしてもかまわなかったのか、というのは、原作を読まずに今回の映画を見た人の感想が一番の判断材料になると思う。

011ダ・ヴィンチ 僕としては、特にフラッシュバックの使い方などが、果たして原作を知らない人がこれを理解できるだろうか、と首を傾げた部分だった。その挿入の仕方にしても、ちょっと安易というか、とってつけたような感じがした。シラスの過去や、アリンガローサとの出会いのエピソードなど、たぶんあれではほとんど意味がわからないと思う。
 シオン修道会、アリンガローサ司教、シラス、導師の関係も、よく理解できなかったのではないだろうかと思う。
 
 映画として、とにかく物語を展開させていかなくてはならない、という命題がまず第一で、そのために、一つ一つの謎も、謎というほどのこともなくいとも簡単にあっさりと片づけられていってしまう。
 チューリッヒの銀行であっさりと金庫を開けるシーンには、いささか愕然とした。
 ちょっとちょっと、そりゃないんじゃないの、という感じだった。
 銀行支配人の登退場とその行動も、一個のキャラクターとしてはお粗末過ぎるというか、物語の一つの重要なピースをしめる人物としては、いささか意味不明すぎる気がする。
 いきなり「逃げてください」と言われ、次の瞬間いきなり銃を突きつけられるというのが、意外性うんぬんの前に脈絡がなさすぎるように思った。

010ダ・ヴィンチ ちょっと否定的なことばかり書いたけれど、トム・ハンクスとオドレイ・トトゥ、ジャン・レノといった俳優陣は悪くなかった。
 もともと僕はトム・ハンクスは素晴らしい俳優だと思っているし、やっぱりうまいよなあと今回も思った。
 眉間にしわをよせた彼の困ったような顔と広いおデコが、僕は個人的に好きである。
 また、実際のルーブル美術館でロケをしている点や、数々の絵画、建物や教会など、小説で「ダ・ヴィンチ・コード」に親しんだ人にとっては、映像的には観るべきものはあったと思う。それから真犯人がつかまったあとの、エピローグ的なエピソードの描写は、悪くなかった。実際、この結末に至るシーンを描くために(けっこう長い)、それまでの内容が薄いものになってしまったのではないかいう気がする。

 いずれにしても、原作ファンにとっては、とりあえずこの映画は見ずにはいられないだろうし(僕もそうだったように)、まあそこそこには楽しめると思うので、まあ、観てみて下さい。


P.S
 いつも思うのだけど、こういう宗教的な題材を扱った映画の場合、必ず激しい論争が起きますね。
 旧ソ連のキリスト教圏では一斉に上映反対の抗議行動が起きたということだし、ロシア正教徒が抗議集会を開き、映画のポスターを燃やして鑑賞しないよう呼び掛けたり、モスクワ司教は「福音の歴史を侮辱し、ゆがめた映画の公開は遺憾」とする声明を出したということである。
 ベラルーシの首都ミンスクのカトリック教会司祭は上映反対のハンストを開始し、ウクライナのキリスト教団体は、抗議の十字架行進を行ったということだ。

002ダ・ヴィンチ「パッション」はもちろんそうだったし、「ナルニア国物語」でも、いろいろと論争が起きた。

 まあまあ、これはフィクションなんだからさ、面白ければいいじゃん、と僕を含めた多くの日本人は思うわけだけれど、国によってはそうもいかないみたいである。
 それは宗教が彼らにとって生活の根幹をなす重要なものであるからだろうし、普段特別信心深いというほどではなくても、キリスト教が日常的な基盤として機能している社会にとっては、これは子供の教育に重大な影響を及ぼす問題である、
と考えたりするのだろう。
 そりゃたしかに、あまりにも宗教に対して無関心な日本人が悪いのかも知れないけどね。

 しかしそれに対して、トム・ハンクスはあっさりと述べている。
 「この本が物議をかもしたことも、この本に反感をもつ人がいることも、知っているさ。でも、そういう人はこの映画を観に来なきゃいいんだよ」

●過去の記事 → 「ダ・ヴィンチ・コード 愛蔵版」を読む


人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


012-2ダ・ヴィンチ

 













■「ダ・ヴィンチ・コード」、ダン・ブラウン関連

ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版

絵画とともに、謎を解く旅へ−

読んだ人にもこれから読む人にもうれしい、豪華愛蔵版!内容に登場する絵画や紋章、地図や写真など140点をふんだんに盛り込みました。小説の世界により深く接するための豪華カラー版。

4,725円(税込)

ダ・ヴィンチ・コードの謎(DVD)

サイモン・コックスによる世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」に記された“キリスト教の消された歴史”は真実なのか?レオナルド・ダ・ヴィンチの絵に隠されたさまざまな謎を、映像や解説で紐解くドキュメント。

3,500円(税込)

ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く 世界的ベストセラーの知的冒険ガイド

『ダ・ヴィンチ・コード』で提示された謎を66のキーワードで読み解く。本書は、欧米の各書店で『ダ・ヴィンチ・コード』と併売され、ノンフィクション部門のベストセラーとなっている一冊。

1,470円(税込)


ダ・ヴィンチ・コードの「真実」―本格的解読書決定版

ダ・ヴィンチはなぜ暗号を使ったのか?マグダラのマリアは一体何者なのか?秘密結社は何を行ってきたのか?そして聖杯とは…?謎が謎を呼ぶ『ダ・ヴィンチ・コード』の世界。「真実」か「虚構」か?時代を超えた「最大級のミステリー」に挑む!!

1,680円(税込)

ダ・ヴィンチの暗号を解読する―図説ダ・ヴィンチ・コード



1,470円(税込)

 ダン・ブラウンの本

 

 


 



May 05, 2006

映画「プロデューサーズ」

01プロデューサーズ 映画「プロデューサーズ」を観に行ってきた。
 久しぶりの映画鑑賞。
 『オペラ座の怪人』『シカゴ』ですら獲ることのできなかったトニー賞12部門、史上最多受賞のブロードウェイ・ミュージカルが完全映画化、ということで、前評判もかなりいいし、友達を誘って期待して観に行った。
 これは本当に面白かった。とにかくおかしくておかしくて笑いが止まらなかった。
 ぼくとしては、ほとんど”カルチャーショック”と言っていいぐらいの破格の面白さと爽快感で、文句なく最高のエンターテイメント映画である。

 以下、まずはいつものように(といっても本当に久しぶりなレビューだけど)簡単な映画紹介。

(パンフより、あらすじ抜粋)
 ”最低のミュージカルこそ、最高のチャンスだ”
 一晩で大コケする史上最低なミュージカルをつくり、その製作費200万ドルを持ち逃げしようと企む落ち目のプロデューサー・
マックスと、小心者の会計士・レオ。ある日、マックスの帳簿を調べにやってきたレオが、〈出資者から製作費をあつめる → 
一晩でショーがこける → 出資者に配当金を払わなくてすむ → プロデューサーが儲かる〉という失敗作で大儲けする方法を
発見したことから彼らの利害は一致。マックスは大金を、レオはプロデューサーになる夢を実現するため、「最低の脚本」
「最低の演出家」「最低の出演者」を集めるが・・・。
 ”最低”をプロデュースするため奮闘する彼らのお仕事ぶりを、ショービジネス界の裏側もふんだんにちりばめて描く
極上のエンターテイメント。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 かつてブロードウェイの王様と謳われた大物演劇プロデューサーマックス・ビアリストック(ネイサン・レイン)、ブロードウェイのプロデューサーを夢見る会計士レオ・ブルーム(マシュー・ブロデリック)、の主役二人を始め、史上最低の脚本『春の日のヒトラー』を書いた、鳩と暮らすナチス信奉者のドイツ移民、フランツ・リープキン(ウィル・フェレル)、史上最低の演出家として選ばれるゲイのロジャー・デ・プリー(ゲイリー・ビーチ)、そのアシスタントのカルメン(ロジャー・バート)、二人のアパートにキャスティングにやって来たというセクシーなスウェーデン娘ウーラ(ユマ・サーマン)、などの脇役陣も、本当に魅力的でおかしくて、素敵である。

03プロデューサーズ とにかく物語としては、おそろしく馬鹿バカしい。
 その”おそろしく”馬鹿バカしい加減が、あまりにも度を越しているので、これがコメディといっていいのかなんなのか、最後のほうではよくわからなくなるぐらいだった。物語が進めば進むほど、その馬鹿バカしさがどんどんエスカレートしていく。

 底ぬけの馬鹿バカしさ。
 にもかかわらず、この物語がこんなにも爽快で昂揚感に満ちた楽しい気持ちにさせてくれるのは、そのバカさ加減の徹底ぶりと同時に、きらびやかで洗練された曲や歌やダンス、その舞台セットや演出や照明のゴージャスさを含め、ブロードウェイ・ショービジネスの楽しさや素晴らしさを豪華に、あますことなく見せてくれるところであり、1959年のブロードウェイを再現した街やポスター、看板、その細部へのこだわりなど、費やされている労力やこだわりもまた徹底しているからである。お客を最終的には感動にまで持っていく、そのポイントもしっかりとおさえている。いい意味で、なにもかもが度を越しているという感じで、そこまでやるか、という感じがまたおかしい。

04プロデューサーズ この作品を見ていると、これがまさしくアメリカの「ショービジネス」の最高峰なのだ、と妙に納得させられる。
 いかに客を楽しませるか、という部分では、とにかく徹底しているし、その見せ方も洗練され、徹底されている。
 それはつまりこれがショーだからであり、ショーとはビジネスだからであり、ビジネスとは、資本を投下し利潤を回収するものだからである、ということだし、
ショービジネスとは、言ってみればアメリカン・ドリームを文字通り体現したもの、”夢を売る商売”なのだ、ということでもある。

プロデューサーズ 同時にこの映画ではいろいろな意味でパロディをうまく使いながら、ブロードウェイや、ショービジネスそのものをちょっと、一歩引いた地点から見た上で、あえてそこに乗っかっていくというような熱狂とわくわくするような楽しさがあって、そのものすごくバカバカしい内容の中には、まさに王道を行くような夢が満ち溢れている。落ちぶれたプロデューサー、無名の会計士が、一気にスターダムを駆け上がり、夢と、途方もない成功と、富と名声を手にするというこの物語自体が、アメリカン・ドリームそのものである。
 自分も成功できるかも知れない、という可能性に対する、浮き立つような高揚感と明るい希望がそこにはある。
 マックスとレオとの友情や、ゲイの演出家やその助手、ナチス信奉者の脚本家や、お色気スウェーデン娘や、マックスを慕う老婦人たち、などなど、登場人物たちそれぞれの関係も、おかしく、壮大に馬鹿バカしく、微笑ましく、優しい。
 やがて「安心毛布」を手放せるようになるレオの成長や、友人の裏切り、再開、夢の達成、など、時に人生の悲哀や、生きることの楽しさ、温かさなどを感じさせてくれる。
02プロデューサーズ 見終わった後には、幸福な余韻が残る。
 エンドロールが流れる時には、なんだか本当にいい舞台の幕切れみたいに、思わず拍手喝采したくなった。
 というのは僕だけではないと思う。一緒に観に行った友達もやはりそうだったみたいである。

 物語をこういう形で描き、こんなにもバカバカしいと同時に、こんなにも楽しく爽快で幸せな気持ちにさせてくれるというのは、本当にもうすごいとしか言いようない。
 凡百の真面目で重いドラマなんかより、よほど人生に対するパワーを持っている。元気と生きる力を与えてくれる。
 素晴らしい作品だと思う。
 おおげさではなく、ほんとうに、僕にとってはまさにカルチャーショックだった。
 びっくり感動した。
 とにかく見れて良かったな、と思う。

 ところでユマ・サーマン、本当に美しくて、色っぽくて、ゴージャスで、魅力的で、良かったですね。

 まだ見てない方、是非、映画館で見てみてください。

 ヒデの超おすすめ映画。


人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。 

■ 映画「プロデューサーズ」関連


プロデューサーズ サントラ 

プロデューサーズ サントラCD

1-1(43) 序曲
1-2(1:46) オープニング・ナイト
1-3(3:57) ウィ・キャン・ドゥ・イット
1-4(6:14) アイ・ワナ・ビー・ア・プロデューサー
1-5(1:57) グーテンタグ・ホップ=クロップ
1-6(5:51) キープ・イット・ゲイ
1-7(3:09) あたしのお宝を見せちゃうわ
1-8(3:51) ビアリィのおかげ
1-9(4:15) ザット・フェイス
1-10(1:19) ドイツ・バンドを聴いたことがあるかい?
1-11(1:34) ネヴァー・セイ・グッドラック・オン・オープニング・ナイト
1-12(3:40) 春の日のヒトラー・パート1
1-13(52) ハイル我輩
1-14(3:00) 春の日のヒトラー・パート2
1-15(1:10) ハピネス・イン・リオ
1-16(4:26) 裏切られて
1-17(3:10) ティル・ヒム
1-18(2:16) プリズナーズ・オブ・ラヴ(ブロードウェー版)
1-19(1:26) プリズナーズ・オブ・ラヴ(レオとマックス版)
1-20(3:41) ナッシング・ライク・ア・ショウ・オン・ブロードウェー
1-21(3:34) ホップ=クロップは続く
1-22(35) グッドバイ!
1-23(4:38) キング・オブ・ブロードウェー

2,520円(税込)

プロデューサーズ

プロデューサーズ


ブロードウェー空前の大ヒットミュージカル『プロデューサーズ』を完全翻訳!
その陰に隠れたストーリー、歌詞、逸話!その全貌!
HOW WE DID IT!!

4,725円(税込)



February 12, 2006

映画「Mr.&Mrs.Smith」(「ミスター&ミセス スミス」)を見る

 ブラッド・ピットがもともとあまり好きではなかったこともあって、見に行くのを少しためらっていた映画だったが、実際見てみると、僕的にはここ最近のNO.1といっていいぐらい、爽快で楽しいエンターテイメント映画だった。
 この作品の共演により、私生活でもカップルになったという、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの記念的作品。またふたり揃ってそれぞれの過去出演作すべての記録をぬりかえるという、驚異的なヒットをマークした。

07Mr.&Mrs. Smith 以下、goo映画より、あらすじ抜粋。

南米で情熱的な恋に落ちたジョンとジェーンは、結婚し、晴れて「Mr. & Mrs. スミス」となる。
5〜6年後、夫婦に倦怠感が生まれていたある日、ふたりはお互いの「裏の顔」を知ってしまう。ジョンは建築業を隠れ蓑にした凄腕の殺し屋。プログラマーのジェーンは暗殺組織のエースだったのだ!この稼業では、自分の正体を知った相手を48時間以内に始末することが暗黙のルール。
こうして、ふたりの壮絶な夫婦対立が勃発する…!

〈キャスト〉
 ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、ヴィンス・ヴォーン、アダム・ブロディ、 ケリー・ワシントン、キース・デヴィッド、クリス・ワイツ、レイチェル・ハントリ、ミシェル・モナハン

〈スタッフ〉
監督:ダグ・リーマン、製作:ルーカス・フォスター、アキヴァ・ゴールズマン、エリック・マクレオド、アーノン・ミルチャン、パトリック・ワックスバーガー 
製作総指揮:エリック・フェイグ Erik、脚本:サイモン・キンバーグ、撮影:ボジャン・バゼリ
プロダクションデザイン:ジェフ・マン、衣装デザイン:マイケル・カプラン、編集:マイケル・トロニック
音楽:ジョン・パウエル

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 派手なアクションやカーチェイス、銃撃戦や爆発、と一見よくあるハリウッド・エンターテイメントなのだが、内容的にはそういった最初の思い込みを大きく上回る、よく出来た作品だった。
 アクション、コメディ、ラブロマンス、スリル、サスペンス、と、普通なら収拾がつかなくなるような多くのドラマ的要素が詰め込まれている中で、ストーリ的にもテーマ的にも一貫して狙いが明確で、また全体なコメディ・タッチな味付けや運び、そのテンポや見せ方もうまく、センスもあって、全体的にも非常にうまくまとめている。

02Mr.&Mrs. Smith 映画が始まってすぐ、六年前に二人が出会うコロンビア・ボコタの場面なども、出会った瞬間強烈に惹かれあい、運命的な恋に落ちていく様が、たった数分のシーンなのに妙に納得させられてしまう。
 映画のトーンが最初からコメディタッチに統一されているという点で、こちらとしてもすっと受け入れやすいということもあるだろうが、この辺はやはり、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーという、二人のスターの持つ力に負う部分も大きいのだろう。
 このシーンでの二人が妙に納得できてしまう点が、あとあとの展開にも響いてくることになる。

 この物語は実に単純に要約してしまうことが出来る。

 「結婚六年目、倦怠期を迎えた夫婦が、史上最大の夫婦喧嘩を通してお互いの本当の姿や内面を再発見し、情熱を復活させ、もう一度恋に落ちる。互いを理解し合い、協力し合うことを学んでいく」

03Mr.&Mrs. Smith 様々な要素が詰め込まれているように見える映画だが、一言で言えばこれは、「夫婦間の危機と再生を描くロマンティック・コメディ」であり、主人公たちが底辺に抱えているその問題は、描かれるシーンの派手さに反して、驚くほど身近で真面目なものである。
 大掛かりなアクションも殺し合いも、結局はそのごく日常的な問題を描くための道具立てに過ぎない。
 どこにでもありそうな夫婦問題、日曜の夜九時からホームドラマで描かれそうな題材。
 それをこれだけのアクションと、エキサイティングな演出で描くというのは、本当にたいしたものだと思う。

06Mr.&Mrs. Smith 全体を通して、この作品がユーモラスなコメディとして成立しえているのは、二人が倦怠期の夫婦として過ごす日常の描かれ方の巧みさ、センスの良さ、そのあたりの基本的な部分がしっかりしているというのも大きな理由の一つであると思う。
 カーテンの好みの違い、お互いのよそよそしさ、無関心、料理が口に合わなくても文句を言わず、つまらないトラブルを避けることを優先し、いつも大量の塩をふりかけるブラッド・ピット。
 どれも上辺だけの夫婦の生活をうまくあらわしていて面白かった。見ながら僕も、かつての自分自身の結婚生活を身近に思い出したりした。
 そういうシーンがつい笑えてしまうのは、結構いいところをきちんとリアルについているからだし、いわゆるステレオタイプ、とは言うものの、世界中、どこの夫婦の間にも見られる光景、といったところなのだろう。
 今のこの惰性的な毎日、なんとかならないものだろうか?となんとなく漠然と考えてはいるものの、果たしていったい、じゃあどうすればいいのかよくわからない、というのも、世界共通である。
 お互いの素性を知った二人が疑心暗鬼でディナーを共にするシーンなども、その探りあいの様子が、コミカルだが実に真に迫っていて、思わず笑ってしまった。

05Mr.&Mrs. Smith 結局二人は、世の中の多くの夫婦が同じように抱える問題・・・倦怠感、嘘や取り繕い、ごまかしや、見せかけだけの平和、魂の喪失、といったものに対して、壮絶な殺し合いという修羅場をくぐり抜けていくことで、初めてお互いの本当の内面を知るようになる。

 また二人はそれまで、それぞれ「殺し屋」として、常に孤独に、単独行動を本分として生きてきている。基本的にはほとんど誰にも心の真相を明かさず、友人も作らない。
 そのような二人が、この闘いによって、パートナーと協力して生きていくことを学んでいく。
 ようやく二人の間には嘘も隠しもなくなり、お互いを理解し、相手への恋の情熱を本当の意味で復活させていくのである。

04Mr.&Mrs. Smith 冒頭と結末のマリッジ・セラピーもまた、効果的な役目を果たし、映画にいい雰囲気を添えている。
 最初セラピストに夫婦生活の頻度を聞かれた二人は、お茶を濁すだけでそのまま話題をそらしてしまう。だが結末において、ブラッド・ピットはセラピストに「セックスのことを聞いてくれよ」と言う。
 そして茶目っ気たっぷりの得意満面な顔で「10段階のうちの10」だと言う。

 とにかく文句なく楽しめる、おすすめの映画。
 アンジェリーナ・ジョリーも本当に美しく魅力的だった。
 セクシーで、知的なキャリアウーマンの服装と、情熱的なダンスと重火器が実によく似合い、タフで強靭な大人の女の色気を発散し、時々はっとするようなかわいい顔をする。

 最後に、映画のパンフから、ブラッド・ピットのインタビュー記事を少しだけ抜粋して紹介します。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 Q.現在41歳で、以前より穏やかに見えますが、何か理由は?
 「今は、もう言い訳ができない歳だし、全ての選択にものすごく注意を払っている。自分が選択をし、全ての責任を負う。
 それはそれですごく満足感を覚える。正しい選択をすれば受け入れ、もし間違った選択をしても、受け入れる。
 間違いが起きないわけがない。たとえ間違っていたとしても、そこから学んで、次に進めることもある。楽しいことではないけれど、最終的には良い結果が待っている」

 Q.幸せは過大評価されていると思いますか?
 「幸せは過大評価され、不幸は過小評価される。ひとつだけ明確なのは、この人生は一度きりで、やりたいようにやるチャンスも同じ、ということ。だから自分が大切だと思う事はすべて試したほうがいい。自分の内面を見つめて、そして誠実に、実行する。それが震え上がるほど怖いことでもね。
 そう思えれば、突然徹夜しなければならなくなっても、渋滞の中を2時間車で移動しても、それでいいと思えるようになる」

 Q.アンジェリーナ・ジョリーにコメントを。
 「ただただ素晴らしい女性で、偉大な女優で素敵な人です」

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。



「Mr.&Mrs.Smith」サウンドトラック

Mr. & Mrs. Smith サウンドトラック


2,064円(税込)

視聴可能です。ソフト・セルやエア・サプライ、ジョー・ストラマーといった80年代ヒットを中心に、ボン・ジョヴィやガンズのカヴァーなども収録。
なかなか充実したナンバーで、お買い得ですよ。


  1. ラブ・スティンクス
  2. ナッシン・バット・ア・グッド・タイム
  3. 汚れなき愛
  4. ベイビー・ベイビー
  5. エクスプレス・ユアセルフ(モーシャン・ワーカー・リミックス)
  6. モンド・ボンゴ
  7. レイ・レディー・レイ
  8. アイル・メルト・ウィズ・ユー
  9. ノーバディ・ダズ・イット・ベター
  10. イフ・アイ・ネヴァ・シー・ユー・アゲイン
  11. アサシンズ・タンゴ
  12. ユーストゥ・トゥ・ラブ・ハー(バット・アイ・ハッド・トゥ・キル・ハー)
  13. ユー・アー・マイ・サンシャイン
  14. ユーヴ・ロスト・ザット・ラヴィン・フィーリン
  15. 渚の誓い
  16. 禁じられた愛
  17. 愛ある限り

Mr.&Mrs. スミス プレミアム・エディション icon

Mr.&Mrs. スミス プレミアム・エディション







4月5日発売。予約受付中。

3,490円

icon【映像特典等】
ダグ・リーマン&サイモン・キンバーグによるオーディオコメンタリー、メイキングオブ“Mr.&Mrs.スミス" 、未公開シーン集(全3シーン)、予告編&TVスポット集



February 05, 2006

映画「THE有頂天ホテル(THE WOW-CHOTEN HOTEL)」を見る

01有頂天ホテル





02有頂天ホテル 「お帰りなさいませ、お客様。当ホテルは愛と勇気と素敵な偶然をお届けします」

(あらすじ)
 物語の舞台は大晦日の大ホテル。
「今年のうちに、心の中にある悩みをすっきりさせたい」
「一年の終わりに、何かひとつくらい、いいことをしたい」
みんながそんな思いを抱いている。
 ホテルの威信がかかったカウントダウン・パーティまであと2時間。

 ホテルアバンティで働くホテルマンとそこへやって来る訳ありの宿泊客たち。
 そして次々と起こるトラブルとハプニング・・・。

 果たして彼らに、幸せな新年はやってくるのか?

03有頂天ホテル−−−−−−−−−−−−−−−−−
監督と脚本:三谷幸喜

(出演)
役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、
戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、YOU、オダギリジョー、
角野卓造、寺島進、浅野和之、近藤芳正、川平慈英、堀内敬子、梶原善、石井正則、
原田美枝子、唐沢敏明、津川雅彦、伊藤四郎、西田敏行


「THE有頂天ホテル」公式HP
http://www.uchoten.com/


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

12有頂天ホテル 1月14日公開の映画、「THE有頂天ホテル(THE WOW-CHOTEN HOTEL)」をやっと見にいくことができた。
 古畑任三郎・ファイナルの時、さかんにCMで流れていたし、ずっと気になってはいた。

 ものすごく大きな期待をして見に行った、というほどでも本当はなかったのだが、実際見てみると、三谷幸喜氏自身「3本目にして早くも集大成の作品」と言っている言葉どおり、完成度の高い、素敵な作品に仕上がっていたと思う。

 三谷幸喜独特の、現実から少しだけずれた一種のファンタジーとも言える世界観、ユーモアと明るさ、笑い、そして最後には心温まる感動、と、二時間十六分、存分に楽しませてもらった。

 この映画では、たくさんの豪華キャストと、その人物たちに起こるさまざまなハプニング、トラブル、偶然の出来事と、本当に盛りだくさんのエピソードが、すべて同時進行的に描かれていく。
 それぞれが問題を抱え、個性的で多彩である。

08有頂天ホテル 登場するのは、
 ・申し分のないホテル・アバンティ副支配人(役所広司)
 ・副支配人の別れた妻(原田美枝子)とその夫、マン・オブ・ザ・イヤー受賞者(角野卓造)
 ・アシスタントマネージャー(戸田恵子)
 ・怪しい、料飲部副支配人(生瀬勝久)
 ・シンガーソングライターとしてメジャーデビューするという夢をあきらめ、故郷へ帰ろうとしているベルボーイ(香取慎吾)
 ・代議士の元愛人、今はホテルアバンティで客室係として働くシングルマザー05有頂天ホテル(松たか子)
 ・人生崖っぷちの汚職国会議員(佐藤浩市)
 ・議員の秘書(浅野和之)
 ・神出鬼没の高級コールガール(篠原涼子)
 ・謎のフライトアテンダント(麻生久美子)
 ・行方不明になる脳天気な総支配人(伊東四朗)
 ・死にたがる演歌歌手(西田敏行)
 ・不幸なシンガー(YOU)
 13有頂天ホテル・一九分けの芸能プロ社長(唐沢寿明)
 ・事故に遭った大富豪(津川雅彦)
 ・筆の達人(オダギリジョー)
 ・ホテル探偵(石井正則)
 ・恋人と喧嘩中の客室係(堀内敬子)
 ・恋人のパンツを無断ではいてしまい、許してもらえず途方にくれるウェイター(川平慈英)

 などなどで、いかにバラエティに富んだ人物構成であるかがわかる。

14有頂天ホテル アクの強いキャラクターたちが織りなす、一見ばらばらに見えるエピソードだが、見終わってみると、そこにはすべてきちんと大きな共通点がある。

 簡単にまとめると以下のようになると思う。
 1.主要登場人物たちの多くが、かつて一度は「夢」を見て、深い挫折を味わっている(あるいは現在味わっている)。

11有頂天ホテル 2.その人たちを励まし、手助けをし、再び奮い立たせていくストーリーのメインを支えるのは、社会的に一段低いと思われる立場にいる
人物たちである。

  具体的には、
  ・コールガール
  ・客室係のシングルマザー
  ・夢を捨て田舎に帰ろうとしているベルボーイ
  ということになる。

07有頂天ホテル 3.しかしそんな彼らも含め、結局は登場人物達全員が、直接的に、あるいは間接的に、連関し合い、お互いを励まし合い、助けとなる。誰かを励ました人物も、その後は逆に、誰かから励まされるのである。

 4.最後には皆それぞれ一つの共通した境地に達する。「好きなように、思ったようにやってみればいい」

06有頂天ホテル 個々のエピソードをつなぎ、物語の流れを進行してく一種の狂言回し的役割をつとめる副支配人・新堂(役所広司)も、若い頃ステージ・ディレクター(舞台監督)として独立を夢見ながら、現実にはそれだけでは食べて行くことが出来ず、
妻に出て行かれ、やがて夢をあきらめてホテルマンになった、という経緯を持っている。
17有頂天ホテル カウントダウン・パーティを目前に、彼は別れた妻と遭遇し、現在ホテルで働いていると言えず、「マン・オブ・ザ・イヤー」の授賞式に呼ばれて来たのだ、と嘘を付いてしまう。

 彼はまた、シンガーソングライターになることをあきらめ田舎に帰ろうとするベルボーイ(香取慎吾)に、
「もう少し頑張ってみればいいじゃないか。今諦めてしまったら、後できっと後悔するよ」
 と、普段の彼らしからぬ励ましの言葉をかけたりもする。

04有頂天ホテル とにかく一見散漫ですらあるような、ばらばらに進んでいくかに見えるエピソードだが、終盤見事に収束して行き、一つのテーマを形作り、暖かな感動までもたらして観客に涙まで流させるその緻密な構成力は、本当に見事としか言いようがない。
 縦横無尽に張られた伏線の数々も、最後にはぴしりと収まるべき場所へ収まってい20有頂天ホテルく。






 ただ一人、主要人物の中で異色なのが、唐沢敏明演じる芸能プロの社長である。
 仕事のためなら手段を選ばない男。やり手なのかも知れないが、虚業に生き、どこかうさんくさく、イカサマ師18有頂天ホテルのような彼は、最後まで精神的に何も変わらない。唐沢寿明もそれはそれで結構楽しく演じているようで、そのハッタリ芝居がどこか憎めず、見ていて面白かった。


今回の映画の中で、大きな役割を果たしているのが、ベルボーイ・憲二(香取慎吾)が歌う『天国生まれ』と、不幸なシンガー・桜チェリー(YOU)の歌う『If My Friends Could See Me Now』の二曲である。
 香取が歌い上げる「生きる希望」、YOUが歌う「今夜生まれ変わった新しい自分を見て欲しい」、という二つのメッセージは、映画のテーマそのものである。


10有頂天ホテル 以下に、『If My Friends Could See Me Now』の歌詞をご紹介します。
 エンドロールでも流れるこの曲は、映画の明るく温かな、体中が軽くなるようなすがすがしいエンディングと相まって、素敵な余韻を残してくれる。
 それにしても、YOUの歌って、なかなか味わい深いものがありますね。
 少なくともこの曲には、とても合っていたと思います。


15有頂天ホテル−−−『If My Friends Could See Me Now』−−−

もし出来ることなら
今の私を皆に見せたい
豪華な食事にワイン

皆を呼んであげたい
今の私を見て欲しい

WOWと叫ぶしかないの
私は今、ここにいる

今夜、生まれ変わった
これが新しい自分

まあ、なんてこと
誰も信じやしない

きっと信じない
今の私を見て欲しい!

19有頂天ホテル(訳詞:三谷幸喜) 
−−−−−−−−−−−−





人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

THE 有頂天ホテル オリジナル・サウンドトラック


三谷幸喜監督・脚本による2006年公開映画のサントラ盤。ホテルを舞台に、大晦日の夜から年越しまでの2時間をさまざまな人の視点から描いた作品の音楽を手がけているのは、本間勇輔。YOU扮する桜チェリーが歌うジャズ・スタンダードも収録。音楽コンセプトは1940〜60年代を彷彿とさせるサウンド。

 〜ちなみに僕のお気に入りは、バーのシーンで使われた、メインテーマのジャズバージョン。それとエンディングでちょっとだけ聞こえるラグタイムバージョン。こっちは本間さんから楽譜を頂いたので、目下、ピアノで練習しているところです。
 最後にボーナストラックの説明を。劇中でラスト近くに流れる、賛美歌風のBGMがとても素敵だったので、それに僕が詞を付けてみました。クリスタルな歌声を披露してくれているのは、劇中で客室係の睦子さんを演じている堀内敬子さんです。

〜三谷幸喜


February 04, 2006

映画「プライドと偏見」サウンドトラックを買う

03「プライドと偏見」サントラ







 少し前にAmazonからギフト券約1,000円分が届いたので、さっそくそれを利用して、欲しかった「プライドと偏見」のサントラを買った。

 このサントラの1曲目が、映画の冒頭、愛読書を小脇に抱えたエリザベスがベネット家に帰宅する場面で流れてくる曲であり、この映画のメインテーマでもある。印象的な美しい曲で、映画の雰囲気や感動がはっきりと思い出される。

 サントラに付属の解説によれば、作曲にあたりジョー・ライト監督は、ダリオ・マリアネッリにベートーヴェンのいくつかのピアノ・ソナタを参考に与え、マリアネッリは18世紀末、ジェーン・オースティンとその家族がおそらく耳にしただろうと想像される音楽を書いた、ということだ。
 書き上げられた繊細で美しい曲は、撮影の間も映画に大きなインスピレーションを与えることになった、という。


01「プライドと偏見」サントラ 13曲目、「ダーシーの手紙(DARCY'S LETTER」ではそれまでの雰囲気と大きく変わり、ダーシーから突然の求婚を受けたエリザベスの、激しい混乱と心の揺れが描かれる。鼓動が高鳴り、一種のパニック状態がやってくる。
 エリザベスの断固とした拒絶、ダーシーとのぶつかり合い、その後パニックが収束していくにつれて、自分がとった態度の後味の悪さ、解決のつかない混乱、自己嫌悪、哀しみ、などエリザベスの複雑な胸中が表現される。
 すっきりとしない重い余韻が残る。

 14曲目「キャント・スロー・ダウン」ではまた雰囲気はガラリと変わり、イギリスの民俗音楽的なバイオリン中心の陽気で楽しい音楽。
 15曲目「冷たい手」では「ダーシーの手紙」を基調とした曲に戻るが、曲が進むに連れてエリザベスが自分自身の偏見の愚かさに気づき、ダーシーという人物を再発見していく過程が描かれる。


02「プライドと偏見」サントラ やがて16曲目「ミセス・ダーシー(MRS. DARCY)」で再び冒頭のメイン・テーマをベースとした曲。
 誤解がとけ二人の思いが通じ合い、互いに対する愛を確認しあう。穏やかで幸せな光が満ちて行く。
 17曲目ラスト「エンド・クレジット」。静な愛情に満ちた二人、平和、家族の幸福な未来が暗示される。

 サントラ全体的にはベートーヴェンのピアノ・ソナタを参考に作られたピアノ曲、劇中に登場する舞踏会の音楽から成り立っていて、映画の舞台である18世紀末のイギリスの美しい自然や田園風景の情景に包まれた、穏やかで情緒あるクラシックCDにまとまっている。

 僕としては、何かデスクワークをしている時にBGMとして流すにはうってつけのCD、という感じだ。
 曲自体とても美しいし、耳に心地よく、あまりでしゃばりすぎず、手元の仕事を邪魔しない。
 気分穏やかになれるし、目の前の仕事に集中できる。
 そして時々、はっと顔を上げ、曲の旋律に込められたものに耳を澄ます。
 いいサントラだと思う。

 さっそくiPodにも入れて、仕事の空き時間や移動時間にも堪能している。
 良かったら、是非聞いて見てください。
 おすすめです。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

映画『プライドと偏見』オリジナル・サウンドトラック


音楽は「In The World」でベルリン映画祭金熊賞を受賞した実力派ダリオ・マリアネッリ。そしてピアノを担当しているのがフランスの貴公子ピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデ。
『ピアノ・レッスン』を髣髴とさせる美しいスコアが展開されます。

iPod black


音楽をポケットに入れて持ち運ぶことを可能にしたiPodが、ビデオにも対応しました。新しいiPodは最大 15,000 曲、最大 150 時間のビデオを収録できます。



January 25, 2006

「プライドと偏見」のこと・その2 原作を読み返す

13プライドと偏見 この間、映画「プライドと偏見」を見て以来、再び原作を読み返している。

 僕が持っている新潮文庫版の「自負と偏見」は、最後の中野好夫氏の解説まで入れると、全606頁。
 かなりの分量だし、通して読み返すとなるとなかなか勇気がいるのだが、映画を見たせいで、どうしても読み返さずにはいられなくなった。
 途中まで読んでその後いっこうに進まないマイクル・クライトンの「恐怖の存在」は横に置き、今は毎日少しずつ、結構新鮮な気持ちで、楽しみながら読み返している。
 モームも言っているように、いくら読んでもこれといってたいした事件は何も起こらないのだが、一度ページをくるとたちまち引き込まれ、するすると、どんどん読み進んでしまう。
 本当に面白い。

 読み返していて思うのは、映画版が、自分が考えていた以上にかなり原作に忠実だったことである。
 もちろん映画と小説は別物なので、その面白さの質は違うが、少なくともストーリーやテーマ、エピソードといった面では、驚くほどそのままである。下手な改変や大幅なカットもなければ、でしゃばったつけ足しもない。

 一般的に、小説を映画化する場合、ストーリーやエピソードや、重要な登場人物まで、割愛されてしまうことが結構多い。ひどい時には、根本的なテーマまで、変わってしまう場合もある。絶対死んではいけないはずの人が途中で死んだり、いなかったはずの子供が勝手に生まれていることもある。

 僕が昔一番ひどいと思ったのはヴィヴィアン・リー主演の「アンナ・カレーニナ」だった。
 マイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」にもがっかりした。「アルジャーノンに花束を(邦題『まごころを君に』」も今一歩だった。どれも原作に思い入れがあるだけに、自分がもっとも感動したはずのポイントをないがしろにされると、やはりがっかりした気持ちになってしまう。

 しかしそれはそれとして、考えてみると、ジェーン・オースティンの作品というのは、もしかしたら映画化しやすいのかな、とここのところ思う。同じ長編小説でも、マイクル・クライトンや、トルストイや、あるいはジョン・アーヴィングの小説なんかだと、これでもかというぐらい次々に事件や展開があって、人も大勢あらわれる。映画という2時間から3時間の尺に詰め込むには、たしかに大変そうである。それに対して、ジェーン・オースティンのそれはまったく逆で、これといった展開や事件が少ない分、一つ一つをじっくりと、丁寧に描ける、という点で、映画の時間枠にはめ込みやすいのかも知れない。
 
 そういえば、ケイト・ウィンスレット主演の「いつか晴れた日に(ジェーン・オースティン原作『分別と多感』」もなかなか良かった。

 
 今回この「プライドと偏見」の映画を見た後で、あらためて原作を読み返してみると、映画では語られなかったそれぞれの事情や心理、その背景、因果関係などが細かくわかるし、ジェーン・オースティンが物語を通して物事をどのような
目で見ているか、それぞれの登場人物についてどう考えているか、その鋭い描写も、大きな楽しみの一つである。

05プライドと偏見 たとえば例の牧師、ミスター・コリンズ氏のことを、オースティンは次のように描写している。

「ミスター・コリンズは、あまり頭のいい男ではなかった。しかもその生来の欠陥が、教育によっても、ほとんど補われていなかった。彼の生涯の大半は、無学でケチな父親の膝下ですごされ、また大学にも通ったことはあるが、それすらただ規定の年限を在学したというだけで、益友をつくるなどということは、いっさいしなかった。父親の下で、ただ盲従だけを強いられて育ったために、はじめは妙に卑屈な態度になっていたが、その後それは、バカが独居することからくる自惚れと、若くして思わぬ成金になったことからする妙に尊大ぶった気持ちとに、大きく変わっていた」(新潮文庫『自負と偏見』P111頁より)

 原作のコリンズが「背の高い」でくのぼうであるのとは逆に、映画のコリンズはかなり小男だが、一連のちょっと気違いじみた言動、頭の悪さ、感じの悪さ、自惚れの強さ、というのは、映画でもとても良く出ている。

 それから僕の好きなのは、シャーロット・ルーカスが、エリザベスに自分とコリンズとの婚約を打ち明けるシーンである。
 小説でも映画でも、このシーンはいろいろと考えさせられる、ちょっと物哀しくもあるいい場面だ。
 シャーロットから婚約のことを聞かされて、エリザベスはびっくり仰天する。
 なんであんな男と?
 しかもつい3、4日前に、自分にプロポーズしたばかりだというのに。


 そんなエリザベスに対して、シャーロットは次のように言う。

 私は別に、結婚出来さえすればそれでいい。
 私にはロマンスなんて贅沢なの。

 私は不器量だし、財産もない。
 このチャンスを逃したら、私はこの先一生結婚できないかも知れない。いい縁があるとも思えない。
 そしてコリンズさんにはそれなりの財産も地位もある。

 私は別にロマンスなんて望んでいないの。
 結婚できて、安定した暮らしがあって、自分の家庭が持てて、それだけで十分だわ。


 エリザベスには、ただ世俗的な利害だけを考え、その他の気持ちなどいっさい犠牲にして結婚しようとしているシャーロットの行動が信じられない。そもそも愛情のない結婚など、まったく考えられないのがエリザベスである。

 しかし確かにエリザベスの言うことも正論だが、シャーロットの言うことも間違ってはいない。
 現実的な意味合いにおいて、シャーロットの言うことは正しい。
 あてのないロマンスをただ夢見ていても、それだけでは生きていけない。
 人生とは、そんなに甘くはない。

 僕はこのシーンがとても好きだ。
 二人の生き方は非常に対象的だが、どちらの気持ちもわかる。
 そしてシャーロットの選んだ生き方には、現実を厳しく生きようとする強さと、潔さと、たくましさが感じられる。
 もちろんシャーロットは、じゅうぶん納得づくで、そのような道を自分で選んだのだ。
 映画ではあまり多くは語られないが、原作では彼女は、「今回の結婚が自分にとって何か幸福を約束してくれるように思う。この結婚が、ほかの人の結婚に負けるとは思わないの」と言う。
 エリザベスは、そのために犠牲にされるもののことを思う。
 そして結婚とは果たしてなんだろうかと考える。
 シャーロットの心の痛みについて考え、自分自身の痛みについて考える。
 「プライドと偏見」の名シーンの一つであると思う。


 とりあえず、現在198ページ目。
 エリザベスがウィッカム君にどんどん惹かれ、ミスター・ビングリー氏がジェーンをおいて、ロンドンへと発ってしまったところです。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


 

自負と偏見

イギリスの田舎町、五人姉妹のベネット家の隣に、青年紳士ビングリーが引越して来る。温和で美しい長女ジェーンと才気溢れる次女エリザベス、そして快活なビングリーとその親友で気難し屋のダーシー。ところが、エリザベスが高慢で鼻持ちならぬ男と考えていたダーシーが、実は誠実で賢明な紳士だと判った時…。二組の恋の行方と日常を鋭い観察眼とユーモアで見事に描写した名作。

映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

映画『プライドと偏見』オリジナル・サウンドトラック


音楽は「In The World」でベルリン映画祭金熊賞を受賞した実力派ダリオ・マリアネッリ。そしてピアノを担当しているのがフランスの貴公子ピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデ。
『ピアノ・レッスン』を髣髴とさせる美しいスコアが展開されます。



January 22, 2006

映画「プライドと偏見」、原作とジェーン・オースティンのこと

01プライドと偏見 1月14日に公開になった映画「プライドと偏見」を観に行ってきた。
 僕にしてはめずらしく、夜の回をわざわざ観に行ったのだが、期待を裏切らずとてもいい映画だった。

 この映画の原作、ジェーン・オースティンの「プライドと偏見(「自負と偏見」または「高慢と偏見」)」は、ずいぶん昔から、僕の愛読書の一つである。
 今まで何度も何度も読み返している本、しかも長編小説となると、そう多くはないのだが、その中でも間違いなくトップクラスの面白さである。
 特別ストーリーがどうの、展開がどうの、謎がどうの、という物語ではないが、何かの折にふと読み返したくなる、ページをくりたくなる。ジェーン・オースティンの優れた人間観察と、きちんと描き分けられた登場人物たち、人々の交流や、それぞれが持つ欠点、その思いの錯綜が、読んでいて心地いい。読みながらいろいろなことを考えさせられるし、読み終わった時には、本当に充実した読書を楽しめたという実感がある。

02プライドと偏見 さて、映画はというと、時間的な制約上、たしかに原作のダイジェスト版という感じで、原作が持つなんとも言えない魅力と味わい、ていねいで細かな日常生活の描写や人々の心の機微、そこから生まれる会話の絶妙さ、、毒とユーモア、心の葛藤や煩悶、そういったものの小説ならではの細部への書き込みによる魅力は、かなりの部分刈り込まれているものの、原作の良さや雰囲気を忠実に、正統的にきちんと汲み取り、すっきりとしたいい映画に仕上がっていると思う。
 このあたりの、デボラ・モガーの脚色は、実に見事である。

 また、映画全編にわたるイギリスの大自然や風景、18世紀の豪奢な屋敷と調度類、庭園なども本当に美しい。
 なによりも素晴らしいのは主演のキーラ・ナイトレイで、原作の雰囲気そのままに、聡明で凜とした美しさ、知的で自立心にあふれた、生き生きとして爽快な、素敵なエリザベスを演じている。
04プライドと偏見 エリザベスが体験する心の揺れとその振幅、やがて自分の過ちや、自分自身の本当の気持ちに気づき、一人の男性と結ばれていく過程、このあたりの演じぶりは、女優としても本当に見事だと思う。
 音楽は、ベルリン映画祭で金熊賞に輝いた「イン・ディス・ワールド」のダリオ・マリアネッリが担当。
 これも美しく、でしゃばりすぎずに、作品の雰囲気を効果的に後押ししていて、好感が持てる。

 この物語が、今日でも多くの人々に愛され続けているのは、いわゆる家庭劇的な平凡な日常、当時のイギリスの上中産階級の田園生活、といった狭い世界を描きながらも、そこに描かれる人間やテーマが、いつの時代にも共通する鋭い洞察に裏付けられているからであり、”結婚”という時代を超えた人々の憧れ、題材がテーマとなっているからであると思う。
 課される試練が、誰の胸にも覚えのある、チクリと刺さる痛みと、その開放の力を強力に持っている。

06プライドと偏見 ストーリー的なことを言えば、この「プライドと偏見」は、ベネット家の長女ジェーンとビングリー、主人公である次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)とダーシーの、結婚に至る紆余曲折の物語、と簡単に言ってしまうことができる。
 しかしずいぶん昔に、どこかの本で誰かが言っていたように、この「プライドと偏見」は、現代のあらゆる恋愛ドラマやメロドラマ、少女漫画の原点であり、その後の多くの物語が、この「プライド〜」のバリエーションに過ぎないと言うことも出来なくはない。
 そのぐらい、ドラマとしての本質的な要素を土台に持っているのである。

05プライドと偏見 簡単にまとめると、次のようになると思う。

 「男女が出会い、始めは互いに相容れないもの、反発すら覚えながらも、しだいに惹かれ合うようになる。
 やがて、当初思いこんでいた様々な誤解が解け始め、いったん誤解が解けると、今までのすべてが違って見えてくる。
 二人は互いに自分の過ちに気づく。
 そして試練を乗り越え、最後には許し合い、愛し合うようになる。
 ハッピーエンド。」

08プライドと偏見 この基本的な構図は、多くのドラマに見ることが出来るし、僕の大好きな漫画『ガラスの仮面』の北島マヤと速水真澄(紫のバラの人)
の関係などはまさしくこの典型である。
 そう考えると、『ガラスの仮面』には、物語としての面白さの要素が、巧みに盛り込まれていたのだなあ、と今さらながら妙に感心してしまう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〈ジェーン・オースティンのこと〉

 ジェーン・オースティンは1775年、ハンプシャーで牧師の父と母の間に、8人兄妹の7番目、次女として生まれた。
 1775年といえば、アメリカ独立戦争の起こった年であり、その14年後にはフランス革命勃発という、ヨーロッ07プライドと偏見パ中を捲き込んだ大きな時代の動乱期である。
 オースティン家は古い家柄で、上流階級に属していたが、財産はなく、また子だくさんという状況の中で、生活は裕福とは言えなかったらしい。学校教育もほとんど受けず、家庭教師もおらず、召使いもろくにいなかった。
 家事も、母親を先頭に、娘達で協力してやった。
 まさに今回の「プライドと偏見」の舞台そのものである。
 
 若い頃、オースティンはある青年と恋愛関係になるが、2人とも財産がないことを理由に、彼の家族から結婚に反対されている。
 その数年後、別の男性と婚約するが、翌日には婚約を破棄したという。
 そのあたりの詳細はわからないが、おそらく彼を愛していないことに気づいたからだと言われている。
 1805年に父を失うと、母と08-2プライドと偏見姉、親類の娘らと、女性だけ13プライドと偏見の生活を送った。

 オースティンは6つの代表的な小説を残しているが、当時の人々が好んだロマン主義とは様式的に大きく異なっており、なかなかすぐには受け入れられなかったようだ。
12プライドと偏見 初期(1796〜98)に書かれた「エリナとメアリアン」、今回の「プライド(高慢)と偏見」、「ノーサンガー寺院」は、いずれも出版元が見つかるまでに、15年以上もかかったらしい。
 「エリナとメアリアン」を改作し、やっと36歳にして陽の目を見たのが「分別と多感(映画『いつか晴れた日に』)」であり、1813年、38歳の時に「プライドと偏見」を出版した。どちらも自費出版だったが、ひとたび世に出るとたちまち注目を浴び、
作家としての地位を確立した。

 彼女の執筆スタイルは、書14プライドと偏見斎にとじこもって集中して書く、といういわゆる作家的なものではなく、家事や針仕事の合間、いつも持ち歩いていた小さな紙片に、何か思い浮かぶと書きつける、というものだったようである。
 そして誰か人の気配がすると、さっとそれを隠してしまう。
 彼女が描くのは、彼女彼女16プライドと偏見自身が真に観察したものだけだった、という。彼女が記した書簡に、
「田舎に三つか四つの家族が集まれば、それで十分小説になる」と書いているいるように、彼女は良い文学を書くにはそれで十分だと考えていた。

 1814年には「マンスフィールド・パーク」を、1815年には「エマ」を出版。
 しかし翌年から健康の衰えがあらわれ始め、1817年に、良い医者にかかるためウィンチェスターに移った。
17プライドと偏見 その甲斐もなく、同年7月18日、わずか41歳で亡くなった。



09プライドと偏見−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 『成熟は幻想の喪失を通じて達成されるというのが、オースティン作品の特徴的なテーマであり、
登場人物の性格上の欠点は、きびしい試練を教訓としてまなんではじめて修正される』
Microsoft(R) Encarta(R) Encyclopedia 2002. (C) 1993-2001 Microsoft Corporation. All rights reserved.

 
 現実の世界では、たとえ自らその欠点や過ちに気づき、悔い改めたとしても、一度失ってしまった人間関係や信頼関係、恋愛関係は、二度と元には戻らないとい09-2プライドと偏見う場合も多い。相手の真意に気づかないまま、気づく機会もなく、そのまま誤解の解けない場合もある。気づいた時には遅すぎた、ということもある。

 しかしそこは娯楽小説の醍醐味。お互いが試練を乗り越え、成熟を遂げた暁に、相手を許しあい、理解し合い、めでたく結ばれる、というハッピーエンドは、人々に大きな感動と励ましを与える。この物語が愛され続ける理由であると思う。

10プライドと偏見 以下、サマセット・モームがジェーン・オースティンを評した言葉を、引用します。
「どの作品にもこれといった大したことは起こらない。それでいて、あるページを読み終えると、さて次に何が起こるだろうかと、急いでページをくらずにはいられない。ところが、ページをくってみても、やはり何も大したことは起こらない。だが、それでいて、またもやページをくらずにはいられないのだ。これだけのことを読者にさせる力を持っているものは、小説家として持ちうるもっとも貴重な才能の持ち主である」
(「自負と偏見」新潮文庫〜解説より)

 とにかく映画自体もとてもおすすめだし、映画を見る前でも見終わった後でも、是非原作を読んでみることをおすすめします。
15プライドと偏見 映画を見終わった後なら、なお楽しめるかも知れません。
 実は僕もまた読み返しています。
 映画では時間の都合で描ききれなかったエピソードや細部、因果関係などがいろいろわかって、とても楽しいし、ジェーン・オースティンの人間そのものに対する物の見方、洞察力の鋭さ、また愛情が伝わってきます。
 もし時間があったら、ご一読を。 


「プライドと偏見」オフィシャルサイト
http://www.pride-h.jp/

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■ 映画「プライドと偏見」、ジェーン・オースティン関連


 

自負と偏見

僕はこの新潮文庫版で読みました。「高慢と偏見」というタイトルで、ちくま文庫、岩波文庫、などからも出版されているようですが、この新潮文庫版は上下巻ではなく一冊にまとまっているし、中野好夫さんの訳文もとても読みやすいし、おすすめです。

映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

映画『プライドと偏見』オリジナル・サウンドトラック


音楽は「In The World」でベルリン映画祭金熊賞を受賞した実力派ダリオ・マリアネッリ。そしてピアノを担当しているのがフランスの貴公子ピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデ。
『ピアノ・レッスン』を髣髴とさせる美しいスコアが展開されます。

 

説きふせられて

愛しながらも周囲に説得されて婚約者と別れたアン.8年の歳月にも,胸の底に秘めた思いの変わることはなかった.思いがけない再会に,若さと魅力が失われつつある自分を意識する….南イングランドの美しい自然を舞台に,心の底にしみ入るような魅力をたたえた,しみじみとした心理小説.オースティン最後の作品。

 

ノーサンガー・アベイ

19世紀イギリスの代表的女流作家ジェーン・オースティンの佳作、待望の新訳。物語のヒロインに憧れる17歳のキャサリンを中心に、英国中流階級の生活ぶりと典雅な恋愛模様をユーモアと風刺を織り混ぜて描く。

 

マンスフィールド・パーク

映画化された「分別と多感」「エマ」など、機知と英知、そして情熱を秘めた作品を残した、19世紀英国が誇る女流作家、ジェーン・オースティンの後期代表作の新訳。

エマ DVD

19世紀のイギリスを舞台に、頭でっかちで恋愛沙汰を知ったかぶりするエマを巡る、上流社会の恋のさや当てをコミカルに描くイギリス喜劇。
出演:グウィネス・パルトロウ、トニー・コレット、その他

 

エマ 中公文庫

 

映画情報

goo映画 映画 All About
CINEMA BOX 東京テアトル映画情報 エンタメ YOMIURI ONLINE
TV・映画タイアップ曲 TSUTAYA online スカパー!レンタルサービス!!
DVD最大22%OFF。セブンイレブン受取送料0円
今なら2週間無料でお試し!オンラインDVDレンタル ぽすれん



January 04, 2006

映画「キング・コング」

01kigkong-pict 1933年製作のSF映画の金字塔、世界特撮映画の元祖とでも言うべき古典的名作「キング・コング」を、最新のテクノロジーを駆使し、空前のスケールと史上最高の制作費2億700万ドル(248億4000万円)でリメイクしたアドベンチャー超大作。

「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」で、史上最高のアカデミー賞11部門ノミネート、11部門完全受賞を果たしたピーター・ジャクソン監督が、長年夢みてきたプロジェクト、「9歳の時テレビでこの映画を見たことで、自分の人生が変わった」とまで言う作品『キング・コング』をリメイク。

 ヒロイン、アン・ダロウには、「21グラム」でアカデミー賞候補となった、ナオミ・ワッツ
 野心家の映画監督カール・デナムに、「スクール・オブ・ロック」でゴールデン・グローブ賞ノミネートのジャック・ブラック、アン・ダロウに愛を捧げる気鋭の脚本家ジャック・ドリスコルに、「戦場のピアニスト」でアカデミー賞主演男優賞を獲得したエイドリアン・ブロディ。
 さらに、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム役、アンディ・サーキスが、キング・コングのCGIのためモーション・キャプチャー用の演技を提供、一人二役で、ベンチャー号のコック、ランピーも演じている。

 見終わってみて、とにかく面白い映画だった、というのが率直な感想である。
 僕はオリジナルの「キング・コング」を見ていないので、「キング・コング」でこれほど感動させられるとは予想もしていなかった。
 ラストが迫るにつれ、思わずつい泣いてしまった。一緒に観に行った彼女も、泣きすぎて目が痛くなってしまったみたいである。

 美女と野獣、悲恋の結末・・・といっても、キングコングとアンの間に生まれるのは、いわゆる普通の恋愛感情ではない。
 彼らが育むのは、夫婦がお互いに対して感じるような愛情、自分の子供に対して感じるような愛情、かわいがっているペットへの愛情・・・そういったすべての深い愛情の混合のようなもの、その中間あたりにあるものである。
 映画を見ながら自分の妻のことを思い出す人もいるかもしれないし、忠実な愛犬を思い出す人もいるかも知れない。
 僕は自分が飼っている猫のマキを思い出して、もし僕と離ればなれになったら、マキもあんな風に僕を求めて泣くんだろうか、と考え、涙が浮かんできた。大切な人や猫を、たった一人で置き去りにしてきてしまったような気持ち。
 この映画にあるのは、そんな種類の二人の”絆”なのだ。

 だから映画を見終わったとき、その感動の質は、”悲恋”というようなものではまったくなく、一言で言ってしまえばいわゆる「動物映画」的な感動に近い。

 物語の筋はとても簡単、単純である。
 以下、あらすじと、キャスト&スタッフ紹介。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【あらすじ】

02kingkong-pict 舞台は1933年、世界恐慌真っ只中のニューヨーク。
 人々は仕事や家を失い、食料配給所には長蛇の列ができていた。
 不況の煽りを受け芝居小屋が閉鎖となり、途方にくれる喜劇女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)。オーディションを受けるため演劇プロデューサーに掛け合うが相手にされず、かわりにストリップ劇場を紹介される始末。

 そんなアンの前に、野心家のB級映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)が現れる。
 かつてない冒険映画を髑髏島=スカル・アイランドで撮りたい彼だが、スポンサーからは出資を見限られ、主演女優にも降板されたところだった。
 彼は街中で出会ったアンに目をとめる。アンは彼のイメージにぴったりで、その上服のサイズも降板した女優と同じ。

 なかなか彼のオファーを了承しないアンだが、かねてから憧れていた劇作家ジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)がシナリオを執筆していると聞き、出演することを決める。

04kingkong-pict スカル・アイランドへと向かう船「ベンチャー号」。しかし旅の行き先は、デナムと船長しか知らない。
 ジャックが脚本を執筆する一方、船上での撮影は順調に行われていった。
 無名女優であるアンの演技力を疑問視していたジャックだったが、次第に心惹かれ、互いに思いを寄せ合うようになる。

 突然ベンチャー号は深い霧に包まれ座礁する。ついに、スカル・アイランドに到着したのだ。
09kingkong-pict 上陸を待ち受けていたのは、野蛮な島の原住民たちだった。
 彼らはアンをさらって、巨大なゴリラ”コング”の生け贄として捧げる。
 ジャックたちが駆けつけたとき、すでにアンはコングに連れ去られた後だった。

 スカル・アイランド・・・そこは、絶滅したはずの恐竜たちが徘徊する険しいジャングルだった。
 アン救出に向かうジャックたちに次々と襲いかかる恐竜や、大型の昆虫たち。
 一人また一人と、犠牲者が増えていく。

 コングにさらわれ、その餌食となろうとしていたアン。
 しかしアンを見つめるコングの様子に変化が起き始める。

03kingkong-pict コングの一瞬の隙をついて逃げ出したアンだったが、3頭のV−REXに襲われそうになる。そこへコングが颯爽と救出に現れる。
 V−REXたちを倒したコングは、アンを大事に抱え、自分の隠れ家である山の頂きへ連れて行く。
 夕陽に染まる美しい景色を、アンとコングは見つめる・・・。
 「beautiful」そうアンは呟く。

 やがて、船員たちの罠にかけられ、ついに生け捕りにされてしまうコング。
 数週間後、ニューヨークのブロードウェイで”世界8番目の驚異”と名づけられた一大イベントが行われる。
 このショーによって一躍成功をおさめた興行主は、デナム。
 舞台上に鎖で括り付けられたコング、そのまわりで踊るダンサーたち。
 スカル・アイランドでの出来事を劇にして再現していく。

07kingkong-pict しかし突然、コングは暴走する。
 アン役を、別の女優が演じていたことに腹を立てたのだ。
 鎖をひきちぎり、劇場を破壊して、ニューヨークの街に出るコング。街中がパニックに陥る。
 やがて駆けつけたアンを、コングはそっと抱き上げる。
 軍に囲まれ、追い詰められた二人は、エンパイア・ステート・ビルを登り始める・・・。

06kingkong^pict 
【CAST】
         俳優(役名)
出演: ナオミ・ワッツ(アン・ダロウ)
 ジャック・ブラック(カール・デナム)
 エイドリアン・ブロディ(ジャック・ドリスコル)
 トーマス・クレッチマン(イングルホーン船長)
 コリン・ハンクス(プレストン )
 ジェイミー・ベル(ジミー)
 エヴァン・パーク(ヘイズ)
 カイル・チャンドラー(ブルース )
アンディ・サーキス(キング・コング/コックのランピー)

05kingkong-pict【STAFF】
監督: ピーター・ジャクソン
製作: ジャン・ブレンキン
 キャロリン・カニンガム
 ピーター・ジャクソン 
 フラン・ウォルシュ 
原案: メリアン・C・クーパー
 エドガー・ウォレス 
脚本: ピーター・ジャクソン 
 フラン・ウォルシュ 
 フィリッパ・ボウエン 
撮影: アンドリュー・レスニー 
クリーチャーデザイン: リチャード・テイラー[SFX] 
ミニチュアデザイン: リチャード・テイラー[SFX] 
視覚効果監修: ジョー・レッテリ 
特殊メイク: リチャード・テイラー[SFX]
プロダクションデザイン: グラント・メイジャー
衣装デザイン: テリー・ライアン
編集: ジェイミー・セルカーク 
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

10kingkong-pict コングや、V−REXを始めとする恐竜たち、また、再現された1930年代のニューヨークの街並みなど、巧みなCG映像や、ニュージーランドのウェリントンに建設された大規模なセットが見事なのは言うまでもないが、コングのその表情、感情の表現も本当に素晴らしい。
 コングの心の動きに伴う顔の筋肉の動きや変化など、非常にリアルで魅力的で、あくまで基本的には野生のゴリラとしての本能と険しさ、怖ろしさがあらわれているが、アンとの交流によって、次第に喜びや愛しさ、寂しさなどの感情が、絶妙なニュアンスで表現されていく。
 アンと戯れるシーンなどは本当に微笑ましい。
 獣と人が、お互いを信頼し、お互いを必要とするようになる−−。
 このあたりが、この映画でもっとも心和むシーンであり、まさに動物映画的感動の所以である。

 しかし一つだけ難をあげるとすれば、多くの人が感じているように、確かに3時間8分は長い。
 映画が全体的に良く出来ていて、十分に見所もあるし感動的なので、終わってみればある程度許せてしまうのだが、冒頭から、スカル・アイランド(髑髏島)へ到着するまでがまずかなり長くて、もう少しスピーディに物語を展開させられたんじゃないかと思う部分、カットしても特に問題のないように感じられる部分は確かにある。映画が始まって一時間以上たっても、キング・コングはまだ登場しない。 
 アンを始めとして、周囲の人たちのサイド・ストーリーが丁寧に細かく描かれる。

 髑髏島に潜入してからは、恐竜やら大型虫との戦いが延々と続く。
 たぶん観た人たちの90%ぐらいが、「ジュラシック・パーク」を思い出したはずである。
 僕も観ながら「お、ラプトルだ」「REXだ」と、結構「キング・コング」とは関係ないところで盛り上がった。
 ビジュアル的な面、アクションの臨場感などからいえば、本当によく出来ている。圧倒される。

 しかしたしかに映像やその迫力は素晴らしいのだが、残酷なシーンやちょっと気味の悪い、胸の悪くなるシーンも多かった。
 ばかでかいムカデやら、ゴキブリやら、もぞもぞと動く変な虫たち。
 このあたりは、「このシーンはなくてもいいんじゃないか」「そろそろ次へ行ってもいいんじゃないか」と正直思った。
 実際、オリジナル版では、谷底に落ちたジャック達が虫と格闘する場面はあえてカットされたようだし、確かにそこまで(しかもこのシーンがかなり長い)見せなくても良かったと思う。
 そもそも、これは「キング・コング」なのだから。

11kingkong-pict しかしまあそれはそれとして、全体としては三時間、十分楽しむことが出来た。
 僕としては、そういったささいな個人的意見や多少の欠点には目をつぶりたいと思う。
 「キング・コング」が見所満載の、優れたエンターテイメント映画であることには間違いないのだから。

 オリジナルの倍以上の長さになったという今回のリメイク版だが、長くなったことでもちろん良くなっている部分もたくさんある。
 今回のリメイク版に付け加えられているシーンとして、導入部、ベンチャー号に乗船するまでのエピソードがかなり膨らまされているようである。それによって、アン・ダロウの悲劇のヒロイン的要素も強まっているし、全体を通して非常に重要な役割を担う存在、B級映画監督デナムの、口先だけで実際にはたいしたことのないはったりっぷり、野心のためなら手段を選ばない功利主義、軽さ、などもよく現れている。

08kingkong-pict 導入部を見ていると、アンが恵まれない環境で育ち、愛情にもあまり恵まれなかったであろうということがわかる。
 これまで何度となく絶望を経験してきたアンは、半ば夢をあきらめ、人生をあきらめている。自分は愛など信じない、とアンは言う。そんな幸せは、決して長くは続かないものだから、と。
 そういったサイド・ストーリーがあるからこそ、コングとの絆がより深い結びつきとして、コングにとっても、アンにとってもかけがえのないものとして、胸に響いてくる。

12kingkong-pict 追い詰められたキング・コングがエンパイアステート・ビルに登るシーン−−
なぜコングがそうしたのか−−どこまでも見渡せる美しい透明な朝の空と、そのラストは感動的だ。

 物語を通して、さまざまな社会的メッセージも内包されているのかも知れないが、ストーリーも単純だし、お互いに孤独な存在だったアンとコング、二人の愛の交感の物語として、素直に感動できる良い作品に仕上がっていると思う。

 スクリーンの大画面で楽しむ価値のある、迫力と臨場感ある映画である。
 お正月に見る映画としてはおすすめNO.1と言ってもいいかも知れない。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。
  

「キング・コング」公式HP
http://www.kk-movie.jp/top.html

映画関連情報

goo映画 映画 All About
CINEMA BOX 東京テアトル映画情報 エンタメ YOMIURI ONLINE
TV・映画タイアップ曲 TSUTAYA online スカパー!レンタルサービス!!
DVD最大22%OFF。セブンイレブン受取送料0円 今なら2週間無料でお試し!オンラインDVDレンタル ぽすれん

■ KING KONG 関連
映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

映画『キング・コング』オリジナル・サウンドトラック

『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督による話題作のサントラ盤。1933年のオリジナルをリメイクしたもので、音楽を担当しているのはアカデミー賞受賞作家のハワード・ショア。迫力のスコアが楽しめる。

2,500円(税込)

キング・コングができるまで 製作日記

キング・コングができるまで 製作日記


 これはもう、1本の映画、いや、優に映画3本分ぐらいのボリュームの情報量を持った作品であり、単なるメイキングの枠を超えて楽しめるショート映像集であったりする。
   ピーター・ジャクソン監督の大作「キング・コング」の製作プロセスを緻密に追いかけた、その映像は公開までの間ウェブサイトにて公開されてきたが、本作ではその膨大なメイキング映像に、約1時間の映像をプラス。 カメラは時として撮影現場に出現した、ガンダルフ(!!)姿のスパイを追跡し、時として打ち合わせの最中にも関わらず疲労で眠りこけてしまうジャクソン監督の姿を克明に記録し、またある時は「ユニバーサルから発表の許可が出た」として「キング・コング」の続編2本の製作を喜々として発表するジャクソン監督を捉える。
   通常メイキング映像とは、事実のみを積み重ねて見せるものだが、本作ではどれが撮影現場の真実を写しているのか、どれがスタッフのおふざけなのか、嘘八百を並べ立てたフィクションなのかが分からない。徹夜撮影の後、セルフ・サディスティックなジョークを飛ばし合って楽しむ、あの現場の朦朧とした到達感を共有しているかのような麻薬的な作品だ。(斉藤守彦)

1,980円(税込)

キング・コングができるまで 製作日記 フィギュアBOX

キング・コングができるまで 製作日記 フィギュアBOX


9,240円(税込)

キング・コング

アカデミー賞監督ピーター・ジャクソンの映画を、小説のキング・田中芳樹が渾身のスピンオフ!! 映画のスチールも多用して、傑作な冒険時代小説に仕上がっています。

650円(税込)

映画版 KING KONG フィギュア



December 27, 2005

映画『ダ・ヴィンチ・コード』 最新情報

『ダ・ヴィンチ・コード 愛蔵版』ですっかりダン・ブラウン氏にはまってしまった僕ですが、映画の最新情報を、以下にご紹介します。
(愛蔵版のレビューはこちら)

☆「ダ・ヴィンチ・コード」の60秒スペシャルCMが、元旦限定オンエアで以下の番組中に放映される模様です。

日本テレビ系列「行列のできる法律相談所」20:00〜20:30
TBS系列「スポーツNO.1決定戦」18:30〜23:24
フジテレビ系列「新春かくし芸大会」18:00〜21:24
テレビ東京系列「ビートたけしのエジプトミステリー検20:54〜23:20

☆映画は、2006年5月19日全米公開、5月20日日本公開です。

映画のキャスト及びスタッフは以下のとおり。
スタッフは、『ビューティフル・マインド』組が結集しています。

〈CAST〉
トム・ハンクス(ロバート・ラングドン)
オドレイ・トトゥ(ソフィー・ヌヴー)
イアン・マッケラン(リー・ティービング)
アルフレッド・モリーナ(アリンガローザ司教)
ジャン・レノ(ベズ・ファーシュ)

〈STAFF〉
監督:ロン・ハワード(『アポロ13』、『ビューティフル・マインド』)
脚本:アキヴァ・ゴールズマン(『ビューティフル・マインド』)
音楽:ジェームズ・ホーナー(『僕はラジオ』『タイタニック』)
原作:ダン・ブラウン(『ダ・ヴィンチ・コード』角川書店刊)

コロンビア映画提供
ソニーピクチャーズ エンタテイメント配給

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ダン・ブラウン氏の公式サイト

『ダ・ヴィンチ・コード』オフィシャルサイト


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■『ダ・ヴィンチ・コード』関連

ダ・ヴィンチ・コード ヴィジュアル愛蔵版

絵画とともに、謎を解く旅へ−

読んだ人にもこれから読む人にもうれしい、豪華愛蔵版!内容に登場する絵画や紋章、地図や写真など140点をふんだんに盛り込みました。小説の世界により深く接するための豪華カラー版。

4,725円(税込)

ダ・ヴィンチ・コードの謎(DVD)

サイモン・コックスによる世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」に記された“キリスト教の消された歴史”は真実なのか?レオナルド・ダ・ヴィンチの絵に隠されたさまざまな謎を、映像や解説で紐解くドキュメント。

3,500円(税込)

ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く 世界的ベストセラーの知的冒険ガイド

『ダ・ヴィンチ・コード』で提示された謎を66のキーワードで読み解く。本書は、欧米の各書店で『ダ・ヴィンチ・コード』と併売され、ノンフィクション部門のベストセラーとなっている一冊。

1,470円(税込)


ダ・ヴィンチ・コードの「真実」―本格的解読書決定版

ダ・ヴィンチはなぜ暗号を使ったのか?マグダラのマリアは一体何者なのか?秘密結社は何を行ってきたのか?そして聖杯とは…?謎が謎を呼ぶ『ダ・ヴィンチ・コード』の世界。「真実」か「虚構」か?時代を超えた「最大級のミステリー」に挑む!!

1,680円(税込)

ダ・ヴィンチの暗号を解読する―図説ダ・ヴィンチ・コード



1,470円(税込)



May 11, 2005

ヒデのおすすめ映画「Shall we Dance?〜シャル・ウィ・ダンス?〜」

 嫁さんと二人で、ハリウッド版「Shall we Dance?」を観に行ってきた。
 もともと僕はリチャード・ギアが大好きなのだが、ジェニファー・ロペスもとても良かったし、ドラマ全体としてもオリジナルの良さを損なわず、また別の意味での魅力、感動もプラスされていたりして、日本版を観た人の期待を裏切らない、良い映画に仕上がっていたのではないかと思う。 
 
(以下、goo映画より、あらすじ抜粋)
弁護士のジョンは帰宅途中、ダンス教室の窓辺に佇む美しい女性を見かけ、その物憂げな姿に心奪われる。
ある夜、途中下車して教室に足を踏み入れたジョンは、そのまま入門クラスのレッスンを受けることに。
窓辺の女性、ポリーナの姿を追いながら、ダンスの楽しさを覚えていくジョン。
やがてジョンは、ダンスコンテストに出場するボビーのパートナーに選ばれる。その頃、妻のビヴァリーはジョンの変化に気付き、探偵を雇うことに…。

 基本的には日本のオリジナル版と同じストーリーなのだが、細かなエピソードの変更、シーンの見せ方の違い、全体的なテンポやリズム、また登場するキャラクターの決定的な違いなど、最終的にはそのテーマの扱い方、切り込み方も異なり、そこから受け取る感動のポイントも大きく変わっている。このへんが、とにかく日本版が好きで好きでしょうがない、という人にとっては評価の分かれるところだろう。
 
 たしかにどちらにも一長一短あるので、完全にどっちがいいというのは難しい。
 日本版の魅力はなんと言っても、役所広司の職人的演技の絶妙さ、竹中直人や渡辺えり子といった個性派の脇役陣の強烈な魅力に負うところが大きい。草刈民代については、確かに上品で美しくて、それだけでいい雰囲気を持っているには違いないと思うけれど、演技的にはもう少しなんとかならなかったのかな、というのが僕の正直な感想である。
 
 ハリウッド版を観て僕がまず「おお」と思ったのは、リチャード・ギアの家の大きさで、役所広司演じる、しがないサラリーマンが長期のローンを組んでようやく手に入れたマイホーム、狭いながらも楽しい我が家、というのとはまったくイメージが違い、リチャード演じるジョンはその社会的・職業的階級からしてもアッパー・ミドルクラス、そして例によって美しく輝く広い芝生の前庭と、長いドライヴウェイを持ち、愛車はボルボである。
 
 ハリウッド版は、日本版ほど脇役の存在感やその魅力が目立たないかわりに、全体としてはよくまとまっている。
 テンポ良くドラマが盛り上がって行くし、主役であるリチャード・ギアに非常に”華”がある点、また今回、日本版とのもっとも大きな違いである”夫婦関係の描かれ方”に、よりドラマ的な葛藤の焦点とその昇華が与えられている点で、共感と、カタルシスを持ちやすい。
 適度にメリハリがきいていて、ドラマとしての見せ方が非常にうまいし、このあたりは、さすが大衆受けする映画づくりに手慣れているというか、やっぱりうまいなあと感心する部分である。
 日本版の、いかにも日本的なさりげなさ、静かに漂い、かすかに香るようなしみじみとした情緒と味わい、余韻というのも確かに悪くないし、それはそれで好きなのだが、結果的にはハリウッド版の方が、映画としてのトータル的なパンチ力には勝っているように思う。
 まあしかし、どちらも僕はいい映画だと思うので、最終的には好みの問題だと思うんだけど。
 
 誰の心にも潜んでいる非日常への憧れ。心の空洞から来る倦怠感と、それを埋めたいという抑えがたい欲求。
 クライマックスではそのことを自覚し、自分を許せないというリチャード・ギア。
 
 これはこの映画の”肝”であり、とても感動的であると同時に、夫婦とはなんだろう、人生とはなんだろう、と深く考えさせられます。
 たとえ今が幸せでも、”なにか”が足りないんじゃないかと感じてしまう。年を取り、ある日ふっと心の空白が訪れて、もしかしたら自分は、本当に大切な何かを置き忘れてきているんじゃないか、やり残してきてしまったんじゃないか、と考えてしまう。
 
 それはおそらく誰にでも訪れる心の迷いであり、いずれは誰もが向き合って自分なりに処理して行かなければならない切実な問題で、それだけに、身近な問題として心に響きます。
 リチャード・ギアは、自分と妻との関係、その大切さを再確認することで、再び自分を取り戻していくわけだけど、すごく男らしくてかっこいいと思う反面、自分が同じような状況に立たされたら、たぶんそう簡単には行かないですね。
 すごく微妙な問題だし、すごく悩むんじゃないかと思う。
 でも日本版での、「夢から醒めて、いつもの現実へ」という感覚よりも、「妻へのより深い愛情に気づいて、彼女に対してあらためて誠意を尽くそうとする」リチャードのほうが、僕としては「ああ良かったな」という感じで、感動しやすかったですね。
 人生はしょせん諦めと妥協の連続、どこで自分なりに良しとするか、線を引くか、というのもたしかに真実で、それが人生の大きな滋味でもあるのだけれど、そういうある種悟りのような、消極的肯定とはまた一味違って、自分自身の手で本当の幸福を選択していく、といういかにもハリウッド的な積極さ、主体性、ハッピーエンドは、観ていて爽快で気持ちのいいものです。
 
 それにしても、タキシード姿で薔薇を一輪持って、妻を職場のデパートへ迎えに行くシーン。
 これがこんなに感動的に似合う役者って、なかなかいないですよね。
 ハリウッド映画だから成立する、といのももちろんあるし、普通なら何かの冗談か、ギャグで終わってしまいそうです。
 
 映画が終わるまでに、僕は5回ぐらい思わず涙ぐんでしまいました。
 ハリウッド版「Shall we Dance?」。
 ヒデのおすすめの映画です。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(「Shall we Dance?」関連)
 Shall We dance? Official Book 白夜ムック
第1章:SCENE(グラビア)
巻頭グラビアーー映画から厳選した名シーンを誌上で再現

第2章:CAST & STAFF(キャスト&スタッフ)
主要キャスト&スタッフプロフィール
インタビュー:リチャード・ギア&スーザン・サランドン/
ジェニファー・ロペス/ピーター・チェルソム(監督)

第3章:STEPS(ステップ)
ダンス・ステップの紹介−−映画で観た、あのダンスを踊ろう
はじめてのレッスン(クローズド・チェンジ)
左のニューヨーク・右のニューヨーク
3人でダンス
ジョンとポリーナ:?ウォーク、?クローズド・プロムナード、
?前進ウォーク−−リンク
ワルツに挑戦

第4章:ESSAY(エッセイ)
ダンスの聖地、ブラックプールの過去・現在・未来
『Shall we Dance?』の音楽−−サウンドトラック収録曲の解説

第5章:BEHIND THE SCREEN(舞台裏)
プロダクション・ノート
アメリカでの映画評ーーニューヨーク・タイムズ、プレミア(雑誌)、
ロジャー・イーバート(映画評論家)など
周防正行監督、『Shall we Dance?』を語る
Shall we Dance?パーフェクトガイド 日経BPムック

映画の完全ガイドブック!社交ダンスのレッスン&映画メイキングを収録した1時間30分のスペシャルDVDが付録に付き。『Shall we Dance?』のパーフェクトガイドです。
映画『Shall we Dance?』の舞台裏 ○フォトストーリー ○製作舞台裏 ○スタッフ、キャストインタビュー ○映画評 など映画で学ぶ社交ダンスの世界 ○社交ダンスの基礎知識 ○映画で学ぶ誌上レッスン ○私でもできた!体験ルポ など <特別付録DVD 1時間30分収録!ダンスレッスン&映画メイキングDVD> ○本編ダイジェスト ○キャスト・スタッフインタビュー ○メイキング映像 ○ジェニファー・ロペス来日会見 ○NY・ロンドンプレミア上映会ルポ ○ダンスレッスン体験 ○解説付き社交ダンス大会レポート ほか <特別付録 リチャード・ギア & ジェニファー・ロペス 特写ピンナップポスター> 「Shall we Dance」パーフェクトガイド
 「Shall we Dance?」オリジナル・サウンドトラック
1.Sway - Pussycat Dolls
2.Santa Maria (Del Buen Ayre) - Go Tan Project
3.Happy Feet
4.Espana Cani
5.I Wanna (Shall We Dance) - Gizelle D'Cole and Pilar Montenegro
6.Perfidia
7.Under the Bridges of Paris
8.Moon River
9.Andelucia
10.Book Of Love - Peter Gabriel
11.L Train
12.I Could Have Danced All Night - Jamie Cullum
13.Wonderland - Rachel Fuller
14.Shall We Dance
15.Let's Dance - Mya
Shall We Dance? [SOUNDTRACK] [FROM US] [IMPORT]
オリジナル・サウンドトラック 輸入版
※視聴できます

 Shall we ダンス?―シナリオ対訳
日英対訳版シナリオ。


 Shall weダンス? 周防正行の世界
「ファンシイダンス」や「シコふんじゃった」などの作品で一躍注目を浴びた周防正行監督の世界を紹介する。新作「Shall we ダンス?」を中心に、ピンク映画時代のエピソードなど幅広い内容でおくる。

周防正行監督ロングインタビュー
キャスト&スタッフインタビュー
Shall weダンス?データ
インタビュー・談話
作品評
周防正行対談
周防正行フィルモグラフィー
周防正行シナリオ
 アメリカ人が作った「Shall we dance?」
アメリカに振り回されっぱなしのリメイク裏事情。
なぜここまでそっくりのリメイク版ができたのか?
二つの『Shall we ダンス?』から見えてくる日米格差を含めて、周防監督が描く、前代未聞の痛快ノンフィクション。

●トム・ハンクスからリチャード・ギアに代わった理由
●ジェニファー・ロペス「飛行機を取り替えてちょうだい」事件
●撮影現場でバラバラ殺人事件!?
●ここまでそっくりのリメイクになった理由
●「ユダヤ系マフィア」を自称するミラマックス社長の鶴の一声
●「お先に失礼するわ」とワールド・プレミアパーティから消えたスーザン・サランドン

 日本版「Shall We ダンス? 」(初回限定版)
【初回限定特典ディスク内容】
●映像で見せる「『Shall we ダンス?』アメリカを行く」(アメリカキャンペーンでの貴重映像やスナップを折りまぜて構成された必見コンテンツ)
●竹中直人インタビュー
●草刈民代インタビュー
●「恋の10ダンス」ビデオクリップ
●ハリウッド・リメイク版予告編・特報など特典映像約60分を収録
●豪華美麗BOX仕様予定
 


May 02, 2005

ヒデのおすすめ恋愛映画(1)「髪結いの亭主」

髪結いの亭主01製作年 : 1990年
製作国 : フランス
公開時のコピー : 「かほりたつ、官能」
〈キャスト〉
ジャン・ロシュフォール
アンナ・ガリエナ
ロラン・ベルタン
フィリップ・クレヴノ モルヴォワシュー
ジャック・マトゥ
ヘンリー・ホッキング
ティッキー・オルガド
アンヌ=マリー・ピザニ
髪結いの亭主02(あらすじ)
 女の理容師と結婚したいという願望を持ち続けてきたアントワーヌ。
 少年の頃、将来の夢は?と両親に尋ねられたアントワーヌは、「髪結いの亭主になる」と宣言し、驚いた父親にぶん殴られる。
 しかし彼の決意は固い。中年になり、彼はついにその夢を実現する。
 妻のマチルドは優しく綺麗で、アントワーヌは念髪結いの亭主03願の妻を娶った事に満足し、幸せな日々を送る。
 そして10年、この愛は何事もなく平穏に過ぎてゆくが……。
 主人公ジャン・ロシュフォールの個性的な魅力、美しく妖艶な魅力溢れるアンナ・ガリエナ。
 公開当時、日本でも大ヒットした作品。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 この映画を初めて観たのはもう十年以上も昔のことだ。
 はじめて観たときにも「ああ、いい映画だな」と思った。
 ストーリー的にはなんということのない話だし、人によっては、いまいちよく意味がわからないとか、ただ単に変わった男の話じゃないかとか、エッチなだけじゃないかとか、あるいは物静かすぎて、ちょっと物足りないと感じるかも知れない。
髪結いの亭主05 しかし僕はこの映画が大好きで、何度観ても面白いなあと思う。
 不思議に深い味わいと余韻、そして重い切なさが、人生における一つの真理の断片として、いつまでも胸に刺さり続ける、そんな映画である。
 今回久しぶりにレンタルで観たのだが、僕の中でその名作ぶりはいささかも衰えることがなかった。
 むしろはじめて観た二十歳の頃よりも、いっそう切実に胸に響いてくるものがある。
 数ある恋愛映画のなかでも、これは最高の部類に属するのではないだろうか。

 髪結いの亭主06少年時代の主人公アントワーヌに、父はこう語る。
 「人生は単純だ。物でも人でも、ただ強く望めば手に入るもんだ。失敗するのは、望み方が弱いからだ」
 彼が中年を過ぎて出会い、そして結婚することになるマチルダ。
 彼が夢見た”女の理容師”だ。しかも若く、とびきりの美人である。
 夢は叶ったのだ。
 二人のささやかな結婚式のあと、アントワーヌのモノローグが入るが、それはこの映画のテーマそのものを簡潔にあらわしている。

髪結いの亭主07「皆が帰り、扉が閉まればすべては−−永遠に私たちのためにあるのだ。店が私たちの世界。固い絆に結ばれた−−二人に不仲の種など無縁なのだ。幸せになるとわかっていた。永遠に」
 二人だけの閉じた世界。
 そこで交わされる恋の情熱は、純粋で、信じがたいほどの喜びと至福に満ち、同時に神経症的である。
 彼女が彼に望むのは100%完璧な、永遠に変わることのない愛である。彼にとってもそれはのぞむところで、永遠に彼女を手放すまいと思う。
 彼らの愛の世界の中では、文字通り彼ら二人しか存在しない。その他の人間などまったく必要としていないのである。
 そして彼女もまた、一貫して変わることを拒み、恐れている。成長すること、大人になること、年をとること、二人の間に今あるものが失われることを、痛々しいまでに恐れる。

 彼女の過去については、映画の中ではほとんど語られない。
 わかるのは、彼女には家族がいないこと、そしておそらくは、あまり幸福な少女時代を送らなかったであろうということだけである。
髪結いの亭主04 彼女は言う。
「ねえ、ひとつだけ約束してちょうだい。愛しているふりだけは、絶対にしないで」
 しかしもちろん、永遠に続くものなど何もない。人は、いつまでも激しい恋の炎を燃やし続けているわけにはいかないのである。
 人は老いるものであり、いつか死ぬ存在である。恋はいつか、相手を求める熾烈なエネルギーを離れ、その代わりに、穏やかで優しい愛情に変わっていく。すべては変わり、移ろっていくのだ。
 常連客の一人が言う。「死は夕立のように突然訪れるものだ」
 その言葉どおり、彼女はある日雨の中を一人飛び出し、自ら死を選ぶ。
 二人の愛を、永遠のものにするために。
 そうする以外には、ほかに方法がないからである。
 マチルダが死んだ後、アントワーヌ宛に遺された彼女の遺書。
 それはおそらくこの世でもっとも悲しく、切実な恋に満ちたラブレターであり、その心からの痛切な叫びは、狂おしく、重く、切ない。
 これほどまでに誰かを恋うということ、恋われるということ、そして生きるということの本質的な哀しみが、そこにはある。

 「あなた あなたが死んだり 私に飽きる前に死ぬわ
 優しさだけが残っても それでは満足できない
 不幸より死を選ぶの 抱擁の温もりやあなたの香りや眼差し・・・キスを胸に死にます
 あなたがくれた幸せな日々と共に 死んで行きます
 息が止まるほど長いキスを贈るわ 
 愛してたの あなただけを
 永遠に忘れないで         マチルド」
 
 
髪結いの亭主08 こういう個人的で内面的なストーリーを映画として成立させるのは、−−しかもそれで観る者を心の底から感動させるのは、かなり高度なテクニックが必要とされると思う。しかし伏線の張り方、また演出的な”しかけ”の置き方が非常にうまいので、物語が終盤にさしかかるにつれて、それまでのさりげない、なんということのないジャブが、じわじわと、絶妙にきいてくる。
 僕が最初にうまいなと思ったのは、毛糸のパンツの使い方だが、アンナ・ガリエナ自身の体型の極端な細さと美しさも、この物語のテーマである”永遠性”を暗示するのに大きな役割を担っているのではないかと思う。
 冒頭に登場する肉感たっぷりの理髪店の女に対して、マチルダのその線の細さと美しさは、なにか現実ではないもの、幻想的な何かを思わせる。永久に変わることのないものへの憧れと夢、決して手の届くことのない幻。
 またこの映画のもっとも特徴的で魅力的シーンであるアントワーヌの奇妙な踊りも、彼自身の内面的屈折、現実からの乖離をよくあらわしていて、終盤、オーデコロンのカクテルを二人で笑い転げながら飲むシーンと絶妙にだぶるものがある。
 そのようにして、彼らは束の間の、永遠の世界へと逃避しようとしているのである。
髪結いの亭主09 たしかに神経症的で、尋常な精神状態ではないとも言える二人の恋だが、そのように不器用にしか生きられなかった二人の純粋さに胸が痛む。どこにでもありそうな恋や出会いというのとは完全に壁一枚隔てているわけだけれど、二人の心情やその切迫さには、共感できる。
 こういう映画を観ていると、一般的な人たち(僕も含めて)は、本当の”恋の激しさ”なんて実は結局求めていないんじゃないかと思えてくる。
 今さらだけれど、そもそも恋とは根本的に、苦しく、切なく、危険なものなのだ。そこには、その恋の大きさに見合うだけの、代価が要求される。
 どんな恋にも必ず終わりがあるものであり、それを失うまいと必死に手を伸ばす時、情熱と挫折が訪れる。
 そして恋にとことん誠実になろうとすれば、それこそ命まで落としかねないものなのである。
 


April 18, 2005

「嗤う伊右衛門」

伊右衛門01監督 :  蜷川幸雄
出演 :  唐沢寿明, 小雪, 香川照之, 池内博之, 六平直政,
     松尾玲央, 清水沙映, MAKOTO, 井川比佐志, 不破万作, 新川将人, 妹尾正文, 大門伍朗, 冨岡弘, 谷口高史, 濱口和之, 月川勇気, 藤村志保, 椎名桔平 
 有名な「四谷怪談」を題材に、京極夏彦が新解釈。第25回泉鏡花賞を受賞した同名小説の映画化。
 監督は、舞台演出家として有名な蜷川幸雄。
 互いに愛し合いながらも運命にあやつられ、悲しく引き裂かれてしまう伊右衛門と岩の純愛、狂気を描く。
 
 
伊右衛門03 「四谷怪談」は過去に何度か映画になっていて、2001年の、蜷川幸雄さん演出の舞台公演
(竹中直人主演・藤真利子・広末涼子・高嶋政伸・持田真樹ほか)は話題を呼んだ。 
 今回は京極夏彦氏原作ということで、従来の「四谷怪談」とは内容的にずいぶん趣が異なる。
 ストーリー的に言っても、これまでの「四谷怪談」とまったく違う。
 一言で言って、「嗤う伊右衛門」は、おどろおどろしい怪談などではなく、二人の愛の悲劇の物語である。
伊右衛門02 昔からよく知られている、お岩が夫・伊右衛門のために悲惨な死を遂げ、怨霊となってあらわれ祟りをなす、という日本独特の超自然的な恐怖はほとんど剥ぎ取られている。
 そのかわり、伊右衛門と岩、二人の誠実で不器用な愛が、悲劇の中に呑み込まれていく様子が描かれる。
 超自然的なものの名残らしいものと言えば、映画のエンディングで、不自然に骨組みだけを残した家屋と、その片隅で抱き合ったまま、眠るように死ぬ二人の姿ぐらいだろうか。
伊右衛門05 愛し合う二人が周囲の状況に翻弄され、最終的に悲劇の愛として美しくも哀しく昇華していくあたりは、シェイクスピア的悲劇を思わせる感がある。
 小雪演じる凜とした、清潔感のある美しい岩は、同時に男を滅ぼす運命の女として、その魅力、魔力のようなものを兼ね備えている。
伊右衛門04 今までの「四谷怪談」と「嗤う伊右衛門」のもっとも異なる点は、今回の伊右衛門が誠実で寡黙な善良な人物として描かれている点である。
 映画では伊藤喜兵衛演じる椎名桔平が圧倒的悪人振りを発揮しているけれど、もともと伊右衛門こそが悪人であり、公金に手をつけたり、それを知られたということで岩の父、四谷左門を殺してしまったり、金と地位のために、岩という女房がありながら梅と夫婦になってしまったりする。
 
伊右衛門07 演出的にうまいなあと思うのは、まずなんといっても蚊帳の使い方である。
 嗤わない伊右衛門、彼が現実との間に作っている壁、距離感、そのあたりをうまく象徴的にあらわしていて、彼がその外へ出て岩へと歩み寄った時、それまで彼が固く封印していた心がほころび、そして悲劇へと
向かい始めることになる。物語の最後では、狂気に取り憑かれた伊右衛門が、自らを守る城壁のごとき蚊帳を切り捨て、伊右衛門06その外へ出て、伊藤喜兵衛(椎名桔平)を切る −−このあたりの”蚊帳”の小道具としての使い方は、その重要性においていかにも演劇的であり、そのもって行き方は本当にうまい。

 今回の映画のテーマ、伊右衛門と岩の関係がもっとも象徴的にあらわれているのは、岩の「うらめしや〜」ではないだろうか。
伊右衛門08 一人の男性を狂おしいまでに愛する一人の”女”の心の叫びとして、かつてこの「うらめしや〜」というセリフが、これほどまでに切なく、美しく、恋の色を帯びて響いたことはなかったのではないか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 全体的に、難をあげるとすれば、たしかにちょっとわかりづらい部分はある。
 欲を言えば、原作をほとんど知らない、予備知識のない人たちのために(僕も含めて)、もう少し状況説明が欲しかったような気はする。
 登場人物も多いし、その辺の入り組んだ、複雑な人間関係が、すぐには呑み込みづらい。
 演出的に優れた部分、好きな部分もたくさんあるのだが。
 映画の冒頭近く、伊右衛門の父親が切腹し、その介錯を少年時代の伊右衛門がするというシーンも、特別説明がないので、一見なんのことだかよくわからない。終盤、喜兵衛の介錯をするにあたって、再度のオーバーラップの際に、「ああ、そういうことだったのか」と僕はようやく気づいた。

伊右衛門09 それからクライマックスで、岩が切実な愛の言葉「うらめしや〜」とともに伊右衛門にひしと抱きつくシーンのあと、岩は伊右衛門に切られたのかどうなのか。
 そのへんをどう解釈していいのか、僕はずっと判断につきかねていたのだが、おそらく切ったということなのだろう。
 その後一切岩が姿を現さない点や、切ったとすれば、伊右衛門の何気ない言葉のはしばしの整合がつくからである。
 エンディングで、二人の笑い声と共にカメラが俯瞰していくと、そこは現代の東京のど真ん中・・・という点は、僕にはちょっと理解の範囲の外だった。
 あれは、いったい何を狙っているのだろうか?あのようなシーンを入れる必要性が本当にあったのだろうか?

 しかしそういった不可解な点はいくつかあったものの、内容的にもキャスト的にも、また演出的にも、僕としては面白かったし、楽しめた。
 なんのかんの言っても、これはわりと好きな作品です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
〜「嗤う伊右衛門」関連〜
嗤う伊右衛門  DVD 嗤う伊右衛門 角川文庫 京極夏彦(著)
嗤う伊右衛門 中公文庫 京極夏彦(著)
嗤う伊右衛門 C・NOVELS  BIBLIOTHEQUE 京極夏彦(著)
 


March 29, 2005

スウィングガールズ

swing02 遅ればせながら、前々から見たいと思っていた「スウィングガールズ」をレンタルで見たので、今日はその感想。
 とりあえず以下、公式サイトのイントロダクションからの引用です。

「舞台は東北の片田舎の高校。夏休み返上で補習を受けている女子生徒たちが、サボりの口実としてビックバンドを始める。
当然のごとくやる気はゼロでサボる気満々。しかし、楽器からすこしずつ音がでてくるにつれジャズの魅力にひきこまれ、
ついには自分達だけでバンド結成を決意!とはいえ楽器はないし、お金もない。バイトをすれば大失敗。なんとか楽器を
手に入れて、いざ練習!と思いきや、今度は練習場所もなく、ついにはバンド解散の危機!?
しかし、音楽への熱い思いがはちゃめちゃパワーとあいまって、紆余曲折を吹き飛ばし、感動のラストまで一直線!!」

公式サイト
http://www.swinggirls.jp/index.html

swing07 僕としてはまあまあ面白かったし、難しいことなんかなんにも抜きで、単純に楽しめた。
 シンクロナイトスイミング、またはビッグバンドの演奏を、今までまったくやったことのないずぶの素人であるメンバー達が苦労して
練習し、様々な困難を乗り越えて、遂には人々の喝采を浴びる−−
 という構図とその幕切れに訪れるカタルシス、爽快感は、まさに矢口節である。

swing06 「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」と、どちらにも共通して僕が矢口監督に感心することの一つは、その日常を描く際の「異常さ」である。
 異常さ、というとちょっとニュアンスがきついし、乱暴な言い方かも知れないけれど、−−そして僕が思うだけかも知れないけれど、一見地味で質素で平凡なように見える舞台設定やドラマ展開、そのディティールの描き込みは、よく見ると実際の日常ではほとんどありそうにないものの積み重ねで、どこにでもありそうな平凡な日常的、一青春群像・・・というのとは、明らかに違う。
 それは言ってみればおとぎ話、ファンタジーのようなもので、99%リアルに見えるシーンでも、残りの1%が、なにか決定的に、いわゆる「矢口節」的に、物事の軸のようなものがずれているのである。

 別に悪い意味でそう思うのではなく、そういう一種独特で特殊なセンスと青春ドラマをうまく結びつけて、最後の大きな感動まで持って行くその力、そのあたりが、矢口監督ならではの魅力だな、と僕なんかは思います。

swing08 今回の一番の笑いどころは、なんといってもあの”イノシシ”の場面の、奇抜で斬新(?笑)なストップモーションですね。
 これは一見の価値ありです。今思い出してもかなり笑えます。
 
 『スウィングガールズ』の演奏場面はすべて出演者自身によるものということで、これは結構驚いたし、感心しました。
 なかなかやるものです。
 これで、全国の吹奏楽部入部希望者や、ジャズファンが飛躍的に伸びるんでしょうね。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
swing04 内気で無口な孤高のトロンボーン吹き、関口香織役の本仮屋ユイカさん、いいですね。
 なんとなく昔のドラマ「愛という名のもとに」の時の、深津絵里を思い出しました。
 これからとんでもなく大物になってしまったりするんですかね。昨日から始まったNHKの新しい朝ドラ「ファイト」の主演ということらしいですが。

しかし「愛という名のもとに」か・・・あの頃は、僕も本当に若かった。

人気ブログランキングに参加しています。もしよろしかったら、こちらをクリックしてください。

−−−−−− スウィングガールズ関連 −−−−−−

 サウンドトラックを買おうかどうしようか、迷っているところです。
 DVDは、どうせ買うなら特典映像のついたスペシャルエディション(2枚組)か、プレミアムエディション(3枚組)がおすすめです。

SWING GIRLS オリジナル・サウンドトラック
【収録曲】
1.Take a train ride  2.A列車で行こう (演奏:SWING GIRLS)
3.Through the window  4.Falling in Blue
5.Platanus Garden  6.Keep on going, Girls !
7.Stay away from me  8.swing talk  9.故郷の空 (演奏:SWING GIRLS)
10.メイク・ハー・マイン (演奏:SWING GIRLS)
11.イン・ザ・ムード (演奏:SWING GIRLS) 
12.That's what it is ! 13.Reminding Sorrows
14.A列車で行こう Snowy Ver. (演奏:SWING GIRLS) 
スウィングガールズ オフィシャルブック




スウィングガールズ公式ガイドブック Swing a gogo!!



「スウィングガールズ」絵コンテ集






スウィングガールズ スタンダード・エディション
【映像特典】
・特報
・予告編
・TVCM
・ガールズ&ア・ボーイキャラクター紹介(静止画)


スウィングガールズ スペシャル・エディション
【封入特典】
●ブックレット(16P)
●ラッキーチャンス!監督 or ガールズ&ア・ボーイのサインが入っていたら大当たり!
※ピクチャーレーベル

【収録内容】
《本編ディスク》
105分 / カラー / 2004年度作品 / ビスタサイズ / 片面・2層
《字幕》 1. 日本語音声字幕(山形弁) 2. 英語字幕
【映像特典】
●特報  ●予告編  ●TVCM  ●ガールズ&ア・ボーイキャラクター紹介(静止画)
《特典ディスク》
【映像特典】
●メイキング(CSオンエア版)  ●矢口映画の作り方・SGバージョン  ●サイドストーリー×7タイトル
●キャストインタビュー  ●ロケ地めぐりの旅  ●未公開カット  ●アートワーク紹介
●オールキャスト&スタッフプロフィール(静止画)  ●全国上映劇場リスト(静止画)
●舞台挨拶全記録(静止画)  ●ジャズの歴史紹介  ●楽器解説


人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。



March 25, 2005

オペラ座の怪人(6)「LEARN TO BE LONELY(ラーン・トゥ・ビー・ロンリー)」の意外な深さ

オペラ050325-1 遅くなったけれど、「オペラ座の怪人」歌詞紹介シリーズの最後として、エンディング・テーマである「LEARN TO BE LONELY(ラーン・トゥ・ビー・ロンリー)」にせまってみたいと思います。
 とりあえず、歌詞の紹介から。


−−「LEARN TO BE LONELY(ラーン・トゥ・ビー・ロンリー)」−−



空虚の中に生まれ落ち
荒れ果てた世界に生きる子供よ
孤独でいることを覚えなさい
暗闇の中に 一筋の道を見つけるすべを学びなさい

誰が おまえのためにいてくれるのだろう
誰がおまえを慰め 気づかってくれるのだろう
孤独でいることを覚えなさい
自分で自分の友となるすべを学びなさい

外の世界に おまえを抱きしめてくれる人がいると
一度も 夢見たこともなく
おまえは いつでも知っていた
おまえの心は ひとりぼっちだと

だから 寂しさの中で笑ってごらん
荒れ果てた世界に生きる子供よ
孤独でいることを覚えなさい
一人で生きる人生を 愛するすべを学びなさい

孤独でいることを覚えなさい
人生は生きるに値するもの
人生は独りでも愛せるものだから

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
オペラ050325-4サントラCDを持っていない方は、公式サイトに追加されていますので、こちらでどうぞ。
かなりたっぷりと視聴できます。http://www.opera-movie.jp/


 映画を見終わってこのエンディング・テーマがスタッフ・ロールと共に流れてきたとき、僕が最初に感じたのは、
「なんだこれは。確かにメロディは美しいけど、あまりにも身も蓋もないじゃないか。これじゃいくらなんでもファントムがかわいそすぎる。救いがなさすぎる。あんまりだ」というような感想で、ちょっと肩透かしをくらったような、拍子抜けしたような記憶があります。
 もっとこの映画にふさわしい、いいエンディング・テーマがほかにいくらでもありそうなものじゃないか、と。

オペラ050325-2 しかしサントラCDを買い、何度も何度もなんの気なしにこの曲を繰り返し聞いているうちに、最近この曲に対する自分の感じ方、受け取り方が少しずつ変わってきたことに気づきました。
 英語で歌っているわけだから、もちろん聞いたって意味なんてわからない。にもかかわらず、ある日突然、
「もしかして、これはなかなか奥の深い、まさしくこの映画のエンディングにふさわしい、そしてファントムにこそふさわしい、名曲なのではないか?」
と、ふと思いました。

 それでとにかく、この曲の歌詞について、もう一度ちゃんと考えてみようと思いました。
 実際、この曲はなにを歌っているのでしょうか。何を言おうとしているのでしょうか?

 「孤独でいることを覚えなさい」

 まさにそのままなのですが、たしかに結局人は、その魂の暗闇の部分では、どこまで行こうと常に孤独なのかもしれません。

 ヘルマン・ヘッセはその著書『夜の慰め』の中でこう書いています。
「霧のなかをさすらうことの不思議よ!
 生きるということは孤独であるということだ。
 どんな人も他人を知らず、
 誰もかれも皆ひとりだ」

 また19世紀のドイツの劇作家ヘッベルは言っています。
「生きるとは、深い孤独のなかにあることだ」

 しかしもちろんファントムの場合、そういう一般的な人生についての考察を、そのままあてはめるわけにはいきません。
 彼の生い立ちや境遇、その過去はあまりにも特殊だし、あまりに非人間的(という言葉はふさわしくないかも知れませんが)です。
 ファントムの場合は否が応にも、本当に文字通り孤独な人生を生きるすべを学ぶほかに、生きる道はなかったのです。

 映画のエンディングがどれほど感動的であろうと、またクリスティーヌのキスによってどれほど彼の凍りついた心が溶かされようと、彼の人生に、何か目に見える形での「救い」というものは、やはりありえないのではないか、僕はあとになってそう思うようになりました。
 いいも悪いもなく、彼を本当に救いだすことの出来る人間など、どこにもいないのだ、と。救われるには、彼の人生はすでにあまりにも損なわれ過ぎているからです。

オペラ050325-3 だから最初にも書いたように、このエンディング・テーマは「まさしくこの映画のエンディングにふさわしい、そしてファントムにこそふさわしい、名曲なのではないか」と僕も今は思います。

 今後も彼の指針となるものは、「一人で生きる人生を愛するすべを学ぶ」こと、それを模索することのみです。
 その結果、「人生は独りでも愛せるものだから」という結論に達することが出来るのかどうか、本当にそんなことが可能なのかどうか、それはちょっと僕にはわかりません。

 しかしクリスティーヌとの間にもたれた心の共有や、深い部分でのつながり、それがたとえ一瞬のことであったとしても、それこそが彼にとっては大きな「救い」だったのではないか、僕はそう思うのです。


 この映画を見ることが出来て良かったなあと、時間がたつにつれて、なんだか最近しみじみ思います。
 本当にいい映画でした。


−−−オペラ座関連−−−

オペラCD01おすすめ

 「オペラ座の怪人」オリジナル・サウンドトラック
 



 

マンハッタンの怪人マンハッタンの怪人 

十九世紀末、パリ。オペラ座の地下に潜み、闇の世界を支配する怪人はその醜い容姿ゆえに、それまで愛というものを知らなかった。オペラ座の歌姫に生涯ただ一度きりの恋をするまでは。だが、あの夜、悲劇的な運命の事件は起こってしまった…。そして十三年後。一通の手紙がニューヨークのある男の元に届く。巨万の富と絶大な権力を手にし、街を支配するこの男こそが、パリから消えた怪人だった。そしてこの手紙は、全ての者の運命の輪を、終幕へ向かってゆっくりとまわし始めた―。不朽の愛の名作『オペラ座の怪人』、ここに完結。



「オペラ座の怪人」パーフェクトガイド「オペラ座の怪人」パーフェクトガイド写真多数。1時間20分のDVD付です。キャストインタビューや、スタッフインタビュー、映画完成までの16年にわたる舞台裏などが紹介されています。僕も持ってるけど、結構内容盛りだくさんなわりにお買い得。


The Phantom Of The Opera Companion (FILM...
 これは洋書らしいですが、原作者ガストン・ルルーの紹介、歴代の映画化された怪人、ミュージカルの舞台や、映画作りの舞台裏、映画のシナリオも載ってるようです。
写真集的に写真も多く、曲の英語歌詞も載ってるとか。
英語がそこそこ読める、または読めなくてもいいという強烈なオペラ座ファンにはおすすめ。

ファントム(上)ファントム〈上〉扶桑社ミステリー

19世紀、フランス。夫を亡くしたマドレーヌが失意の中で産んだ長男エリックは、この世のものとは思えない恐ろしい容貌をしていた。以来マドレーヌは我が子をどうしても愛することができず、仮面をかぶせて屋根裏に閉じ込める。やがてエリックのずば抜けた頭脳は顕著になり、幼くして建築学を極めるとともに音楽の方面でも類いまれな才能を発揮。だが八歳になったとき、自分がいると母にも危険がつきまとうと知ったエリックは、自ら家を飛び出した…。あまりにも有名な〈怪人〉の生涯を、生い立ちから書き起こす感動作。

ファントム(下)ファントム(下)
世界的な手品師として暮らした後、三十代半ばになったエリックは憧れのパリに乗り込み、オペラ座の新築工事を任されることになった。工事は十数年に及んだが、地上の生活に疲れた彼はオペラ座の地下深くに秘密のすみかを作り上げ、ようやく安住の地を得る。五十歳を前に体力も衰えると、〈オペラ座の怪人〉になることを思いつき、科学知識を駆使したトリックで人々を震え上がらせた。が、そんなエリックを、新人歌手クリスティーヌとの運命の出会いが待ち受けていた。オペラの歌詞に託して壮大なスケールで語る愛の物語。

〈去年買った僕のお気に入り。ipod。〉
 ここに「オペラ座」を入れて、聞いています。

人気ブログランキングに参加しています。もしよろしかったら、こちらをクリックしてください。









March 14, 2005

オペラ座の怪人(5)番外編 ジェニファー・エリソン

ジェニファー・エリソン01 メグ・ジリーこと、ジェニファー・エリソン。

 メグびいきなのは僕だけでなく、結構いろんな人たちに愛されているようですね。

 というわけで、今日は彼女の特集です。
 といっても、僕だってほとんど彼女のことなんて知らないし、ただ単純に、彼女の写真をしげしげと皆で眺めて、その顔や体つき、そこから醸し出される彼女独特の雰囲気を感じ取って、まあ楽しもうではありませんか、というだけの、ちょっとスケベ根性な企画です。むずかしいことは何ひとつ書きません。
 彼女ファンの方は、どうぞ、心ゆくまで眺めてください。

ジェニファー・エリソン03 どうですか?
オペラ座の時のメグとはまたぜんぜん違って、本当にかわいくて、魅力的です。
 
 それにしても彼女、映画の中ではあまりわかりませんでしたが、実はびっくりするぐらいダイナマイト・ボディです。素晴らしい。 
 ジェニファー・エリソン05
彼女に関して何か情報をご存じの方、いらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。たとえば他に出ている映画とかなにか、なんでも結構です。


 関係ないけど、今日はホワイト・デー。
 僕も嫁さんに、クッキーと、それからちょっとしたものをプレゼントをしました。
 

 
ジェニファー・エリソン02ジェニファー・エリソン04







人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。

March 13, 2005

オペラ座の怪人(4) 「THE POINT OF NO RETURN(ポイント・オブ・ノー・リターン)」歌詞 オリジナル・サウンドトラックから

050313オペラ座01 前回の「THE PHANTOM OF THE OPERA(オペラ座の怪人)」に引き続き、今日はいよいよ、この映画のサビとも言える名曲、「THE POINT OF NO RETURN(ポイント・オブ・ノー・リターン)」をご紹介します。

 今日はいろいろと私的な感想は後にして、まずは歌詞のその全文。
 しかし今まで紹介してきたものと比べると、これは長いな。



−−「THE POINT OF NO RETURN(ポイント・オブ・ノー・リターン)」−−
050313オペラ座06〈ドン・ファン(ファントム)〉
バッサリーノ あっちへ行け!
もう罠は仕掛けられ 獲物を待っている

〈ドン・ファン(ファントム)〉
君はやってきた
深い深い衝動に駆りたてられて
今まで沈黙を守ってきた望みを追い求めて
沈黙を守ってきた望みを

私は君をここに呼んだ
我々の情熱が一つに溶け合えるように
君の心はすでに 私の前に屈している
警戒心を捨てて 完全に屈服してしまっている
今 君は私と共にいる 思い直すことはできない
君は決心したのだから 決心を
もう引き返すことはできない
振り返ることもできない
今までしてきた戯れは 終わりだ
「もしや」や「いつ」と考える時は過ぎた
抵抗しても意味はない
考えるのをやめて 夢に身をまかせるのだ

どんな燃えさかる炎が 魂をおおうのだろう?
どんな濃厚な欲望が 扉の鍵を開けるのか?
どんな甘い誘惑が 我々の前に横たわるのか?

050313オペラ座05もう引き返すことはできない
これが最後の一線
言葉にできない秘密 どんな熱い秘密を
我々は学ぶのだろうか?
もう引き返すことはできない

〈アミンタ(クリスティーヌ)〉
あなたに呼ばれてここに来た
言葉が干上がり 会話が消えて
沈黙だけが残る この場所に
沈黙の地に

私はここに来た その理由もわからないままに
頭の中では もう想像しているわ
肌もあらわな私たちの体が
沈黙の中でからみあう様子を
今 私はあなたと共にいる 思い直すことはない
私は決心したのだから 決心を

もう引き返すことはできない
もう後戻りはできない
私たちの受難劇がついに始まった
善悪の判断はもうできない
残る疑問はただ一つ
二人が一つになるまでに どれくらい待てばいいの?
いつになったら 血が全身を駆けめぐり
眠っていたつぼみが 一気に花開くの?
炎がとうとう 私たちを焼き尽くすのはいつ?

050313オペラ座04050313オペラ座03〈二人〉
もう引き返すことはできない
これが最後の一線
もう橋は渡ってしまった
あとは橋が燃え落ちるのを見ていよう
私たちはもう 引き返すことはできない

〈ファントム〉
一つの愛を 一つの人生を
私と分かち合うと 言ってくれるね
この孤独から 私を導き 救い出してほしい
君と一緒に 君のかたわらに
いてほしいと 言ってくれるね
君がどこへ行こうと 私もついて行こう
クリスティーヌ 私の望みは ただそれだけ

〈カルロッタ〉
ああ、神様!ピアンジ!おお、私の愛しい人!

〈アンドレ〉
なんてことだ!

〈フィルマン〉
我々は終わりだ、アンドレ。もうだめだ!

〈ラウル〉
あいつは彼女をどこへ連れて行ったんだ?

〈マダム・ジリー〉
一緒にいらしてください。私が彼のところへお連れします。
でも、片手を目の高さに上げておくのを忘れないでください。

〈メグ〉
私も行くわ。

〈マダム・ジリー〉
だめよ、メグ!あなたはここに残りなさい。ムッシュ、一緒に来てください。
私が言ったとおりにして。

〈メグ〉
だめよ!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 今回も、英詞が見たい方は以下のサイトから直接どうぞ。
 検索をかけてあるので、すぐに「THE POINT OF NO RETURN(ポイント・オブ・ノー・リターン)」が見れます。

 オリジナル・サウンドトラックの中に入っている解説本の中で、エミー・ロッサムはこの曲について、
「自分が歌う前は『エンジェル・オブ・ミュージック』や『オール・アイ・アスク・オブ・ユー』のように美しい曲が好きだったけど、次第に自分の中でも『ポイント・オブ・ノー・リターン』の存在が大きくなり、今では一番好きかもしれない。クリスティーヌが少女から大人の女性に変わっていく、それこそポイントになる曲だから」
と言っています。

 しかし初めて映画を見たときに、その恋の熱情のあまりの激しさ、巨大さに強烈に胸を刺し貫かれた僕としては、とても「少女から大人の女性に変わっていく」というような生易しいものではなかったです。
 ここにあるのは、そんな一般的なものではなく、人が一生に一度、経験できるか出来ないかというぐらいの、激烈で、ほとんど運命的な恋であり、狂気であり、捨て身の覚悟です。

 面白いのは、それまであくまで力で支配する側だったファントムと、そこにおそるおそる付き従っていたクリスティーヌ、その力関係のバランスがみるみる崩れ、激しく拮抗し、ある部分では完全に逆転までしているところで、その危うさ、心のもっとも柔らかな部分の揺らぎと接触、それが今まさに一つとなろうとする瞬間・・・
 

     もう引き返すことはできない
     これが最後の一線
     もう橋は渡ってしまった
     あとは橋が燃え落ちるのを見ていよう
     私たちはもう 引き返すことはできない

 うーむ、本当にしびれますね。
 僕らがこの曲に惹かれてやまないもの、その魅力とは、このような狂気の域にまで達する「恋という欲望への命がけの希求」に対する一種の憧れが、多分に含まれているのではないか、と僕は思います。
 
 それから曲自体の評価とはあまり関係ないけど、この曲の終盤、メグの「私も行くわ(Like this, monsieur. I'll come with you.)」が僕はすごくいいなあと思います。
 勇ましくてかっこいい。
 今までかわいいだけかと思ってた女の子が、こういう、意外に力強いしっかりした一面を見せたりすると、結構男はぐっと来ます。それでまあ、その後は惚れた者の弱みで、ちゃっかり尻に敷かれてしまったりする。
 そうじゃないですか?
 クリスティーヌもいいけど、メグも、僕としては結構ポイント高いです。
 このジェニファー・エリソン、別の雑誌のグラビアで見たら、はっとするぐらい、とても美しかった。

 次回は曲紹介シリーズの最後、
 ”「LEARN TO BE LONELY(ラーン・トゥ・ビー・ロンリー)」の意外な深さ”というタイトルで、投稿を予定しています。

−−−オペラ座関連−−−

オペラCD01おすすめ

 「オペラ座の怪人」オリジナル・サウンドトラック
 アマゾンのサイトで収録曲の視聴も出来ますよ。




 

マンハッタンの怪人マンハッタンの怪人 

十九世紀末、パリ。オペラ座の地下に潜み、闇の世界を支配する怪人はその醜い容姿ゆえに、それまで愛というものを知らなかった。オペラ座の歌姫に生涯ただ一度きりの恋をするまでは。だが、あの夜、悲劇的な運命の事件は起こってしまった…。そして十三年後。一通の手紙がニューヨークのある男の元に届く。巨万の富と絶大な権力を手にし、街を支配するこの男こそが、パリから消えた怪人だった。そしてこの手紙は、全ての者の運命の輪を、終幕へ向かってゆっくりとまわし始めた―。不朽の愛の名作『オペラ座の怪人』、ここに完結。



「オペラ座の怪人」パーフェクトガイド「オペラ座の怪人」パーフェクトガイド写真多数。1時間20分のDVD付です。キャストインタビューや、スタッフインタビュー、映画完成までの16年にわたる舞台裏などが紹介されています。僕も持ってるけど、結構内容盛りだくさんなわりにお買い得。


The Phantom Of The Opera Companion (FILM...
 これは洋書らしいですが、原作者ガストン・ルルーの紹介、歴代の映画化された怪人、ミュージカルの舞台や、映画作りの舞台裏、映画のシナリオも載ってるようです。
写真集的に写真も多く、曲の英語歌詞も載ってるとか。
英語がそこそこ読める、または読めなくてもいいという強烈なオペラ座ファンにはおすすめ。

ファントム(上)ファントム〈上〉扶桑社ミステリー

19世紀、フランス。夫を亡くしたマドレーヌが失意の中で産んだ長男エリックは、この世のものとは思えない恐ろしい容貌をしていた。以来マドレーヌは我が子をどうしても愛することができず、仮面をかぶせて屋根裏に閉じ込める。やがてエリックのずば抜けた頭脳は顕著になり、幼くして建築学を極めるとともに音楽の方面でも類いまれな才能を発揮。だが八歳になったとき、自分がいると母にも危険がつきまとうと知ったエリックは、自ら家を飛び出した…。あまりにも有名な〈怪人〉の生涯を、生い立ちから書き起こす感動作。

ファントム(下)ファントム(下)
世界的な手品師として暮らした後、三十代半ばになったエリックは憧れのパリに乗り込み、オペラ座の新築工事を任されることになった。工事は十数年に及んだが、地上の生活に疲れた彼はオペラ座の地下深くに秘密のすみかを作り上げ、ようやく安住の地を得る。五十歳を前に体力も衰えると、〈オペラ座の怪人〉になることを思いつき、科学知識を駆使したトリックで人々を震え上がらせた。が、そんなエリックを、新人歌手クリスティーヌとの運命の出会いが待ち受けていた。オペラの歌詞に託して壮大なスケールで語る愛の物語。

〈去年買った僕のお気に入り。ipod。〉
 ここに「オペラ座」を入れて、聞いています。







〈ガストン・ルルーの原作本〉
各種翻訳が出ています。

オペラ座の怪人オペラ座の怪人 オペラ座の怪人〔Rubybooks〕オペラ座の怪人〔Rubybooks〕


 
人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。



March 06, 2005

オペラ座の怪人(3) 「THE PHANTOM OF THE OPERA」歌詞 オリジナル・サウンドトラックから

050306オペラ座01 前回の「THINK OF ME」の紹介からしばらくたったけれど、今回はオペラ座シリーズ第三弾として、「THE PHANTOM OF THE OPERA(オペラ座の怪人)」をピックアップしてみたいと思います。

 これは映画の冒頭でかかるテーマ曲「OVERTURE(オーヴァチェア)」と基本的には同じメロディーで、クリスティーヌが初めてファントムと出会い、二人でそのアジトへと小船にのって洞窟を抜けていくときの曲。


  
 歌詞の中で僕個人的にけっこう好きなのは、クリスティーヌが歌う「私はまた夢を見ているのかしら?(And do I dream again)」という部分で、妙に耳に心地よくて、いつもしびれてしまうんだけど・・・というのは僕だけだろうか?
 それから「私はあなたがかぶる仮面(I am the mask you wear)」というところは、その言葉に込められた意味について、つい「むむ」とあれこれ考えてしまう。
 でもなんといっても、一番いいのはやはり二人の声がハモルさびの部分ですね。
 
 一週間ぶりぐらいに聞いてみてしみじみ思ったのだが、この「THE PHANTOM OF THE OPERA」という曲に惹きつけられる一番の理由、魅力は、曲全体の底辺に流れている二人の道ならぬ恋、その官能性であるような気がします。
 ファントムという存在の恐ろしさと神秘性、そこに否応なく引き込まれていくクリスティーヌ。
 見てはいけないもの、しかし見ずにはいられない、という心理と、ファントムによって暗黒の地の底へといざなわれていく二人。
 そのあたりが、クリスティーヌがファントムに対して抱いていくことになる”女”としての恋の萌芽と絶妙にだぶって、本当に、ぞくっとするような色気のある曲に仕上がっています。
というわけで、

−−−「THE PHANTOM OF THE OPERA(オペラ座の怪人)」−−−

(クリスティーヌ)
眠っている私に 彼は歌ってくれた
夢の中に 彼は現れた
私に呼びかけ 私の名前を呼ぶあの声・・・・・
私はまた夢を見ているのかしら?
今はわかるの
オペラ座の怪人がいるのは 私の心の中だと
(ファントム)
もう一度 私と歌おう 不思議なデュエットを
おまえを支配する私の力は
ますます強大になるのだ
おまえが頭を背けて 後ろを振り返っても
オペラ座の怪人は そこにいる
おまえの心の中に

(クリスティーヌ)
あなたの顔を見た人は おびえて あとずさる
私は あなたがかぶる仮面
(ファントム)
彼らが聞いているのは 私の声
(二人)
おまえの(私の)魂と
私の(あなたの)声は 一つに結ばれている
オペラ座の怪人は そこにいる
おまえの(私の)心の中に

(コーラス)
彼はそこにいる オペラ座の怪人

(クリスティーヌ)
彼はそこにいる オペラ座の怪人

(ファントム)
私のために歌え! 歌え、私の音楽の天使。歌え、
私の天使。
私のために歌え!歌え、私の天使! 歌え、私のために!
050306オペラ座02
 そういえば前に、「ファントムはただのストーカーのおっさんじゃないか?」とどこかのブログで書いていた人がいたけど、
そう言われてみるとまあ確かにそうですね。なにせ一方的で強引だし、相手がなんと言おうとあきらめないし、これでクリスティーヌが激しく嫌がろうものなら、確かにただのストーカー犯罪映画ですね。これは別の意味で恐ろしい。
でも考えてみると、世の中そういう紙一重のことって、結構多いような気がします。
映画に限らず。
 
 次回、オペラ座シリーズ第四弾(いつとは言えませんが)は、いよいよ「THE POINT OF NO RETURN(ポイント・オブ・ノーリターン)」
をご紹介したいと思います。
 
☆ちなみに以下のURLから、この「THE PHANTOM OF THE OPERA」の英語歌詞に直接アクセスできます。

 トラックバックして頂いた、ブログ「鍼灸師のツボ日記」クリ助さんのサイトで、僕も知りました。
 曲名を入力して検索をかければ、さまざまな曲の歌詞がわかる便利サイトです。
 クリ助さん、ありがとうございました。
−−−「オペラ座の怪人」関連−−−

オペラCD01おすすめ
 「オペラ座の怪人」オリジナル・サウンドトラック


オペラ座の怪人パーフェクトガイド
 写真多数。1時間20分のDVD付です。キャストインタビューや、スタッフインタビュー、映画完成までの16年にわたる舞台裏などが紹介されています。僕も持ってるけど、結構内容盛りだくさんなわりにお買い得。

The Phantom Of The Opera Companion (FILM...
 これは洋書らしいですが、原作者ガストン・ルルーの紹介、歴代の映画化された怪人、ミュージカルの舞台や、映画作りの舞台裏、映画のシナリオも載ってるようです。
写真集的に写真も多く、曲の英語歌詞も載ってるとか。
英語がそこそこ読める、または読めなくてもいいという強烈なオペラ座ファンにはおすすめ。

ファントム〈上〉扶桑社ミステリー

 彼がこの世のものとは思えない恐ろしい容貌で生を受け、母親に愛されず、仮面をかぶせられて屋根裏に閉じ込められていた幼少時代。
その後さまざまな才能を開花させつつ、数奇な運命をたどり、クリスティーヌと出会うまでを描いた感動作。

オペラ座の怪人角川文庫



人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。



February 19, 2005

「オペラ座の怪人」(2)CDを買う。「Think of Me」

オペラCD03 ついに「オペラ座の怪人」のサウンドトラックを買った。
 今日は会社が休みだったので、パソコンに向かいながら、午後はずっとエンドレスで聞いていた。

 僕は何かのサントラ、あるいは誰かのCDをたまに買っても、「確かに聞きたかったけど、まあ買うほどのことはなかったんじゃないか」という思いをすることがわりと多いのだが、これは本当に、買って良かったと思う。

 ジャーン、ジャジャジャジャジャーン、というあのパイプオルガンで始まる前奏、そして途中からドラムの音が鳴り響くと、映画を見た時の感動がまざまざとよみがえってきた。
 シャンデリアがオペラ座に落ち、すでに風化した過去の事物が次々と鮮やかな色を持つ瞬間。
 曲に合わせて歌詞カードを目で追っていくと、なんだかもう一度映画を見ているような感じで、印象深いシーンが次々と目に浮かんでくる。
 映画を見たときには、ついさらっと聞き流してしまったところ、あるいはついていけなかったところなんかも、「ああ、こんなことを言ってたのか」という感じで、あらためて感動できた。

 特に「ポイント・オブ・ノーリターン」なんかは、鳥肌が立って一瞬寒気がするぐらいだった。そのぐらい、この恋は強烈で、激しくて、ある意味恐ろしい。歌詞を読めば読むほど、恐ろしい。
 そこには相手を殺しかねないぐらいの切羽詰った熱情、真剣さがある。
 恋愛において、これほどまでに相手を求めるというのは、なかなかあるものではない。

オペラCD02 その迫力は、見る者の心に直接、鋭く切り込んでくる力があって、こっちまで危うく心のバランスを崩しそうなほど、ドキドキさせられる。
 そして映画を見たときに感じたクリスティーヌの圧倒的なまでの妖艶さ、その危ういまでの色気、官能性の意味が、僕は少しだけわかったような気がした。
 あれはクリスティーヌが、生まれて初めて、全身全霊を込めて一人の男を愛した瞬間であり、そこにあるのは、いいも悪いもなく、捨て身とも言えるほどの激しい恋の狂気である。
 今まで少女でしかなかったクリスティーヌの、”女”への豹変ぶり。

 気の毒だが、それはラウルには示されなかった。
 それはファントムに対してのみ向けられた愛であり、おそらくその後も、二度とクリスティーヌが抱くことのなかった種類の感情なのではないだろうか?
 だからこそ、老いたラウルはああして、オペラ座の廃墟を見つめ続けなくてはならなかった。


 この「オペラ座・・・」の中で僕がもっとも好きかも知れない曲、
 「Think of me」の歌詞を、ここで少しご紹介します。
 劇団のスター、カルロッタが役を降りると言った時、はじめてクリスティーヌが歌う曲。
 映画を見たときにも思ったんだけど、本当に美しくも哀しい、いい曲ですね。
 「私を忘れないで」というただそれだけのなんでもない言葉が、何よりも切なく、哀惜の情と共に胸にせまることがある。そういう曲です。
 かつて純粋だった自分、その当時の恋人や、想い、失ったもの、自分は若かったんだということ、そういうもろもろが、曲を聴いていると、つい連想され、溢れてきます。
 実際にお聞かせできないのがとても残念ですが。

  「Think of me」

  私を思い出して
  さようならを言った日の 私をやさしく思い出して
  時々でいいから 思い出してほしいの
  お願い そうすると約束して

  いつか あなたがもう一度 心を取り戻して
  自由への憧れに気づいたら
  もしも そんなときがあったなら
  私のことを想ってほしい

  私たちは一度も口にしなかったわね
  私たちの愛が枯れることもなく
  海のように変わらないものだとは
  でも 今でも覚えていてくれるなら
  立ち止まって 私のことを想ってほしい

  二人で分かち合ったもの
  一緒に見たものを 思い出して
  悔やんだりしないで ああすればよかったなどと・・・


 機会があったら、ぜひ一度じっくりと聞いてみて下さい。

 それと、ファントムの歌声って、本当に深みと味のある、素敵な声ですね。
なんだかわからないけれど、男でも惚れ惚れしてしまうような、ぐっとくるものがあります。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。

オペラCD01
おすすめ
 「オペラ座の怪人」オリジナル・サウンドトラック



February 06, 2005

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人01 最近どんな映画が流行っているかなんてまったく知らなかったのだが、めざましテレビで映画「オペラ座の怪人」の演出家と音楽家のインタビューが紹介されていたらしく、「どうしても見たい」と嫁さんが言うので、ついていった。
 「オペラ座の怪人」はずいぶん昔にビデオで見た記憶があって、ストーリーはだいたい知っていたのだが、映画自体はさほど印象には残っていない。面白かったというよりは、なんだか陰気くさいイメージばかりある。
 なんで今さら『オペラ座の怪人』なんだ?という感じで、ほとんど期待していなかったのだが、しかし実際、これは期待を大きく裏切って、いい映画だった。

 陰気くさいどころか、冒頭から、ぐいぐいと引き込まれてしまう。
 音楽が素晴らしいのは言うまでもなく、映像も、演出もとても素晴らしい。
 1873年の大火で廃墟と化したオペラ座が、ラウル子爵の思いとオーバーラップしつつ、荘厳な音楽と共に1870年代当時の姿を蘇らせ、その色彩を鮮やかに取り戻していくダイナミックなシーンは、物語の始まりとしては本当に印象的なシーンで、映画を見た誰もが息を飲んだのではないだろうか。
 豪華絢爛な美術セットや衣装の数々も半端ではなくて、ていねいに、しっかり時代考証をとって再現されていて、それだけでも見ていて飽きない。
 俳優たちの歌唱力やフルオーケストラで演奏される名曲も美しく、切なく、あるいは戦慄をおびて胸に迫り、圧倒される。
 ヒロインのエミー・ロッサムは美しくて愛らしいし、歌もびっくりするぐらい本当にうまい。

 このアンドリュー・ロイド=ウェーバー作曲のミュージカル「オペラ座の怪人」は1986年にロンドンで幕を開け、ブロードウェイや東京でもロングランし、すでに『キャッツ』の動員記録を塗り替え、ギネスブックにのる見込みだそうである。

 オペラ座の怪人02               
美術や音楽が素晴らしいのはもちろんだが、ここまでこのミュージカルや今回の映画が受け入れられている理由について、特筆すべきなのはやはり、ガストン・ルルーの原作を”美しくも哀しいラブストーリー”として見事に、ハイレベルにまとめている点、そしてかつてはホラー映画の怪人でしかなかったファントムを、その過去の体験を描くことによって等身大の、やむにやまれぬ精神的な痛みを持つ存在として、ヒロイン・クリスティーヌに対する一途で純粋な愛情と共に描いている点にあるのだろう。

 クリスティーヌとファントム、二人の関係がもっとも印象深いシーンとして迫ってくるのは、やはり物語の終盤、”ポイント・オブ・ノー・リターン”をファントムがソロで歌う部分で、これはパンフにもあったけれど、ちょっと他に見当たらないぐらい本当にエロティックで−−精神的にこれほど官能的なシーンというのは、ちょっとすぐには思い当たらない−−開いた口がふさがらないぐらい、引き込まれ、胸を打たれる。
 ファントムの最後も、本当に切なくて、クリスティーヌの複雑な心境と共に、深い余韻が残る。

 しかし昔見世物小屋でひどい目に合わされていたファントムを助けたマダム・ジリーとファントムとの関係、果たしてそこにはどのようなロマンスがあったのか、なかったのか?
 映画の中ではほとんど何も描かれていないのだが、なんだか気になってしょうがない。たぶんみんなも、そうだと思うんだけど。

 とにかく、カップルで観に行くには(一人でもいいけど)、とてもいい映画だと思います。

人気blogランキング。よろしかったら、クリックをお願いします。


ヒデのホームページ「快適書斎スタイル」もよろしく。

オペラ座の怪人 
オペラ座の怪人
サウンド・トラックCD The Phantom of the Opera (Original...