May 17, 2006

アンデルセン童話「人魚姫」あらすじ連載(4)

人魚姫」のあらすじ紹介、第4回目です。

「人魚姫」あらすじ(4)−−−−−−−−−−−−−−−

 王子様のお城に着いた人魚姫は、魔女にもらった薬を飲んで、そのまま気を失った。
 日が昇り、やがて人魚姫が目を覚ますと、そこには王子が立っていた。

 王子はじっとこちらを見ている。
 人魚姫がふっと目を下へそらすと、自分の魚の尻尾がなくなっていることに気づいた。
 そこには人間の女の子の素敵な足があった。
 「君は誰だい?なぜここにいるんだい?」と王子は彼女に聞いたが、人魚姫には言葉を話すことが出来かった。
 それは人間の足をもらうかわりに、魔女に渡してしまった。
 人魚姫は答えるかわりに、優しく、しかしとても悲しげに王子を見つめた。

 王子は人魚姫を宮殿の中へ連れて行った。
 魔女に言われたとおり、人魚姫は一足歩くごとに、まるで鋭いナイフを踏んで歩くような、激しい痛みを感じた。
 でも人魚姫は、それを喜んで我慢した。
 彼女の歩みはその痛みに反して、軽く、すべるようで、愛らしかった。その様子に、王子もほかの人々もすっかり驚いてしまった。

 人魚姫は絹やモスリンで作った美しい服を着せてもらった。
 彼女は誰よりもきれいだった。
 しかし美しい着飾った女奴隷たちが王子の前に進み出て、王子や王子の両親の前で歌を歌い、王子がそれを手をたたいて喜んだ時、人魚姫は悲しい気持ちになった。
 誰よりも美しい歌声を持っていたはずの彼女。それを、王子に会いたいばかりに捨ててきてしまったのだ。
 
 彼女は音楽に合わせて軽やかに踊った。
 それは美しく、軽やかに舞う、見事な踊りだった。
 歌を歌うことは出来なかったが、彼女の踊りや彼女の目は、それ以上に深く、王子の心に語りかけた。
 足は血が吹き出るように痛かった。しかし彼女は王子のために踊り続けた。
 皆はうっとりとそれを眺め、とりわけ王子は感嘆し、喜んだ。
 「ぼくのかわいい拾いっ子さん」と王子は人魚姫を呼んだ。
 そして言った。「いつでも、ぼくのそばにいておくれ」

 二人はいつも一緒に過ごすようになった。
 馬に乗り、森や丘へ散策に出かけたりもするようになった。
 高い山の峰まで登った。
 眼下に見下ろす雲の波を、二人で眺めた。
 人魚姫は幸せだった。

 ある夜遅く、人魚姫が熱く痛む足をつめたい水で冷やしていると、人魚姫のお姉さんたちが浮かびあがってきた。
 彼女たちは人魚姫のために、とても悲しげに歌を歌った。彼女たちも人魚姫も、お互いに気がついた。
「あなたのために、私たちがどんなに心配し、悲しんだことか!」
 それから彼女たちは毎晩、人魚姫をたずねてくるようになった。
 
 日ごとに、王子は人魚姫のことがどんどん好きになっていった。
 王子は人魚姫を本当にかわいがった。
 しかし、彼は人魚姫を自分の妃にしようなどとは夢にも考えていなかった。
 「ぼくは、きみが一番好きだよ」と王子は人魚姫に言った。「きみは、誰よりも優しい心を持っている。君は、僕がまえに会った娘さんに似ているよ。ぼくの船が難破して、浜辺に打ち上げられたとき、ぼくを見つけて、ぼくの命を救ってくれた人だ。あの人こそ、ぼくがこの世で唯一愛することのできる人さ。きみは、その人によく似ている。でもその娘さんは、修道院に入っているんだ。だから、ぼくはその人と結婚することは出来ない。そのかわりに神様が、ぼくのところへ君をよこしてくれたんだと思う。だから、ねえ、ぼくたち、決して離れないでいよう」

(この方は、わたしが命を救ってあげたことを知らないんだわ!)人魚姫は悟った。
(わたしが王子様を助けて海を泳ぎ、あの修道院のあるところまで連れて行ったの。やがてあのきれいな娘さんがやってきて、わたしは海の泡のかげに隠れた。王子様は、あの娘が助けてくれたと思ってる)

(しかし修道院に入っているなら、娘は決して外の世界に出ることも、二度と王子様に会うこともないはずだわ。でもわたしは、毎日王子様に会える。わたしはこの方のお世話をしよう。この方を愛し、この方にわたしの命をささげよう!)

 ところがしばらくたったある日、噂が流れてきた。
 「王子様は、となりの国の王様の、美しいお姫様と結婚することになったそうだよ!」

                         つづく。

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■ アンデルセン童話

あなたの知らないアンデルセン「人魚姫」


少女が恋に目覚め、情熱の赴くままに生き、命を賭けて本当の「愛」に気づいていく…。アンデルセン童話に秘められた愛とエロス。美しい童話ではなく、一女性の魂の成長の物語として捉えた「人魚姫」。デンマーク語からの新訳。

雪の女王 


雪の女王にさらわれた仲よしのカイを追って、ゲルダは山ぞくにとらわれ、雪あらしとたたかい、ついに北の果てにある女王の氷の城へたどりつく。アンデルセン童話の集大成といわれる名作の完訳版。

アンデルセン童話集 (単行本)


荒俣宏の新訳に、アイルランドの幻想派挿絵画家ハリー・クラークのカラー挿絵が悲哀と残酷を感動に変える。アンデルセン生誕200年に贈る極めつけの一冊。

アンデルセン童話集 1 改版―完訳 (1) (文庫)
アンデルセン童話集 2 改版―完訳 (2) (文庫)
アンデルセン童話集 3 改版―完訳 (3) (文庫)



jailz at 20:37│Comments(3)TrackBack(0) 

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この記事へのコメント

1. Posted by ,コタロー   May 17, 2006 21:35
人魚姫かあ、なつかしいね。

私は台湾に行ってきたよ。
ルポ更新中ナリ。
ちなみに来週末はそっちに帰るよ。
というかしょっちゅう帰ってるけど。
2. Posted by ヒデちゃん   May 18, 2006 07:47
やあ久しぶり。
台湾ルポ、読んでるよ。
いいな。僕も海外へ行きたい気分だよ。とても。

帰ってくるんなら、たまには飲もうよ。
つーか、一緒に飲んだことって一度もないけど(笑)
3. Posted by こた   May 19, 2006 09:09
すんごい安いときは、3万円くらいから
ツアーでてるし、おすすめですよ。
一緒に飲んだことないね(笑)。なにしろ
未成年だったからねえ。当時。

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