May 08, 2006

アンデルセン童話「人魚姫」あらすじ連載(2)

 昨日に引き続いてあらすじの紹介です。
 さくさく行きましょう。

「人魚姫」あらすじ(2)−−−−−−−−−−−−−−−

 
 王子と似ている美しい大理石の少年の像を抱きしめ、叶わぬ辛い恋心を自らなぐさめる人魚姫。

 そのうちとうとう人魚姫は我慢できなくなって、お姉さんのうちの一人に自分の気持ちを打ち明けた。
 するとそれは、他のみんなにも知れ渡ってしまった。
 お姉さんたちだけではなく、その女友達にまで知れ渡ってしまった。
 人魚姫は愕然とするが、その友達のうちの一人が、あの王子のことを知っていた。
 王子がどこの国の人で、どこに住んでいるか。

 人魚姫はさっそくその宮殿へ出かけていった。それは円柱の柱や大理石の像ががいくつも立ち、噴水があり、透き通ったガラス越しに見える広間には大きい絵が何枚も飾ってある美しい建物だった。
 人魚姫は夕方や夜になると、何度もそこへ出かけていくようになった。そして月の光を浴びてバルコニーに一人立つ王子をそっと眺めた。
 彼女は思い出していた。
 あの嵐の夜に、自分がどんなに心を込めて王子にキスをしたか。王子の頭がどんなにしっかりと自分の胸の上にもたれていたか。
 
 やがて、人魚姫の人間の世界に対する憧れはますます強くなっていった。
 人間の世界のほうが自分の住む世界よりもずっと広く、大きく見える。
 森や野原は、人魚姫には信じられないぐらい遠くまで広がっている。
 
 ある日人魚姫はおばあさんにたずねた。
 「人間というのは、いつまで生きていられるのかしら?」
 おばあさんは答えた。
 「人間の一生は、わたしたちの一生より、もっと短いのよ。私たちはね、三百年は生きていられるの。でも人魚はここでの一生が終われば、ただの水の泡になってしまうしかない。私たちは死ぬことのない魂というのを持っていないんだよ。
 ところが人間は、魂というのを持っている。その魂は、人間が死んでもいつまでも生き続けるんだよ。それは澄んだ空気の中をのぼり、きらきらと光る星のところまで上るのです。でも私たち人魚には魂がないから、そういうところは決して見ることが出来ないんだよ」

 人魚姫は自分たちが死ぬことのない魂をもらうことが出来なかったこと対して、悲しく首を振った。
 そして言った。
 「わたしは、自分の生きていられる三百年をすっかりあげてしまってもいいから、そのかわり、ほんの一日でも人間になりたいわ」
 「そんなこと考えるものじゃありません!」とおばあさんは怒った。「わたしたちは、人間たちより、ずっと幸せに、具合良く暮らしているんですよ!」

 しかしその後でおばあさんは言った。
 「ただ一つだけ。もしも人間の誰かが、あなたを本当に愛するようになったら、そしていつまでもあなたへの真心は変わらないと誓ってくれたら、そのときは、その人の魂があなたの身体に流れ込み、そうしてあなたのほうも、人間の幸せを分けてもらうことができるのです。その人はあなたに魂をくれるわけだけど、それでも、自分の魂はちゃんと持ち続けるんだよ。でもね、そんなことは決して起こりはしないよ!あなたのその魚の尻尾だって、人間たちはみっともないと思っているんだよ」

 その晩は、人魚の城で華やかな舞踏会が開かれた。
 多くの人魚たちが、歌を歌い、踊った。
 人魚姫は、陸と海のもののうちで、もっとも美しい声を持っていた。そのことを人魚姫は嬉しく思った。
 しかし人魚姫はあの美しい王子のことを思い出していた。
 そして今日聞いたおばあさんの話を思い出していた。人魚には死ぬことのない魂がない、という話を。
 それは人魚姫を辛く、悲しい気持ちにさせた。

 人魚姫はそっと舞踏会から抜け出し、自分の小さな花壇へ行って坐り、そして思った。
 (私はいつもあの人のことを思い続けている。あの人と幸せになるためなら、そしてあの人と一緒に、死ぬことのない魂を手にするためなら、どんなことだってするわ!
 ・・・そうだ、魔女のところへ行ってみよう。
 今までおそろしくて行ったことはなかったけれど。
 魔女ならなにか知恵を貸してくれるかも知れない。何か手助けをしてもらえるかも知れないわ!)

 人魚姫は魔女の住む家へと出かけていった。


                         つづく。

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■ アンデルセン童話

あなたの知らないアンデルセン「人魚姫」


少女が恋に目覚め、情熱の赴くままに生き、命を賭けて本当の「愛」に気づいていく…。アンデルセン童話に秘められた愛とエロス。美しい童話ではなく、一女性の魂の成長の物語として捉えた「人魚姫」。デンマーク語からの新訳。

雪の女王 


雪の女王にさらわれた仲よしのカイを追って、ゲルダは山ぞくにとらわれ、雪あらしとたたかい、ついに北の果てにある女王の氷の城へたどりつく。アンデルセン童話の集大成といわれる名作の完訳版。

アンデルセン童話集 (単行本)


荒俣宏の新訳に、アイルランドの幻想派挿絵画家ハリー・クラークのカラー挿絵が悲哀と残酷を感動に変える。アンデルセン生誕200年に贈る極めつけの一冊。

アンデルセン童話集 1 改版―完訳 (1) (文庫)
アンデルセン童話集 2 改版―完訳 (2) (文庫)
アンデルセン童話集 3 改版―完訳 (3) (文庫)



jailz at 21:22│Comments(0)TrackBack(0) 

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