May 07, 2006

アンデルセン童話「人魚姫」あらすじ連載(1)

 昨日のブログにちらっと書いた「人魚姫」のことが妙に気になってきて、今日は図書館で「人魚姫」をじっくりと読んでみることにした。
 人魚姫の報われない恋、海の泡になってしまう結末・・・というあたりだけはなんとなく覚えていたものの、小学生以来おそらく二十年以上読んでいないと思うし、ディズニーのアニメも見ていないし、いまいち内容がよく思い出せない。
 そういうわけで、アンデルセン童話をじっくり腰をおちつけて読んでみるのもたまにはいいんじゃないか、と思った。

 実際読んでみて、「人魚姫」のあまりの面白さに僕はびっくりしてしまった。
 そこに描かれていることの奥深さや哀しみ、人魚姫の”女”としての恋の情熱の激しさや魂の震え。淡々とした童話的語りの中に、読む者の心の急所をさりげなく、しかし確実に突いてくるポイントがいくつもある。
 そういうのが幾重にも折り重なってストーリーが運ばれて行く。次にどうなるのか、人魚姫の一途で切ない思いの行方はどうなるのか、まったく目が離せない。 そして結末はあまりにも悲しく、感動的である。

 あんまり素敵な話だったので、僕なりにその骨子をまとめて、あらすじを紹介してみたいと思います。
 ところどころでハッとさせられたり、ドキッとさせられる描写やエピソードは、出来るだけそのまま残したいと思います。
 ぼくと同じように、もう人魚姫のお話なんて忘れちゃったよ、という方、あるいは興味はあるけど、わざわざ図書館へ行って読むほどじゃないよ、という方、良かったら読んでみて下さい。
 実際に本を読んでみるのが一番いいとは思いますが、この物語の本質的な面白さ、またその強力な魅力のポイントは、伝わるんじゃないかなと思います。

 骨子を、とはいうものの、ちょっと長くなりそうなので、連載という形で紹介します。


「人魚姫」あらすじ(1)−−−−−−−−−−−−

 人魚姫は六人姉妹の末っ子。
 六人の中では一番美しく、その目は深い深い海のように青く、物静かで、考え深い子だった。
 彼女にとって何よりの楽しみは、海の上の人間の世界の話を聞くことだった。 年寄りのおばあさんに頼んで、彼女はおばあさんの知っていることを、よく話して聞かせてもらった。
 船や町のこと、人間や動物のこと、地上では花が良い香りで匂っているということ、きれいな歌を歌うことが出来る小鳥たちのこと・・・。

 おばあさんは言った。
「あなたがたは、十五になったら、海の上にうかびあがっていくのを許してもらえますよ。そうしたら、あなたがたは、月の光をあびながら、岩の上にすわって、そばを通っていく大きな船を見たり、森や町を眺めることができますよ!」

 しかし人魚姫は一番年下だったから、上の世界を見ることができたのは一番最後だった。
 先に海の上の世界を見てきたお姉さんたちは、人魚姫に自分たちが見てきたもののことを話して聞かせてくれた。
 月の光を浴びた海辺の大きな町、まるで星のように光るたくさんの明かり、音楽や、車のひびき、人間のざわめき、たくさんの教会や塔、鳴り渡る鐘、お城や農園、初めて見た犬のこと・・・。
 やがていよいよ人魚姫の番になった。

 人魚姫がある夜海上に顔を出すと、大きな船が1艘浮かんでいた。そこではある若い王子の誕生日パーティーが行われていた。
 人魚姫は王子を目にし、なんて美しい人だろう、と思った。彼女は王子から目が離せなかった

 そこへ暗く激しい嵐がやってきた。
 船はばらばらに壊れ、沈没してしまった。
 人魚姫は、海に投げ出されて気を失った王子のところまで泳ぎ、彼の頭が水に沈まないように支え、長い間波間をただよった。

 明け方になり、ようやく嵐はおさまった。
 彼の目はまだ閉じられたままだ。
 人魚姫は王子の高く美しいひたいにキスをして、髪の毛をうしろになでつけた。
 なんて美しいんだろう。
 人魚姫はもう一度王子にキスをした。どうかこの人が助かりますように。

 やがて陸地が見え、人魚姫は王子を抱いてそこまで泳いでいき、王子を砂の上に寝かせてやった。
 近くの白い建物から、一人の娘が出てくるのが見えた。その娘は王子を見てびっくりするが、すぐにほかの人たちを呼びに行った。
 少しすると王子は目を覚まし、その娘と、まわりの人たちに微笑みかけた。
 でももちろん、人魚姫のほうには微笑みかけてくれない
 王子は人魚姫が自分の命を助けてくれたなんて、まるで知らなかったからだ。人魚姫は、なんだかとても悲しい気持ちになった。


 この事件があって以来、人魚姫は以前にも増して、物静かで、考え深い様子になった。
 お姉さんたちが何かあったの、何を見たの、と尋ねても、彼女はなにも話そうとしなかった。
 彼女は何日も何日も、夕方も、朝も、王子と別れたあの海辺にあがっていった。
 しかし王子の姿を見ることはできなかった。

 彼女の海底の小さな花壇には、あの王子と似ている美しい大理石の少年の像があった。
 彼女はその像を両腕で抱きしめることで、自分の辛い気持ちをなぐさめた。


                                 ・・・つづく。

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■ アンデルセン童話

あなたの知らないアンデルセン「人魚姫」


少女が恋に目覚め、情熱の赴くままに生き、命を賭けて本当の「愛」に気づいていく…。アンデルセン童話に秘められた愛とエロス。美しい童話ではなく、一女性の魂の成長の物語として捉えた「人魚姫」。デンマーク語からの新訳。

雪の女王 


雪の女王にさらわれた仲よしのカイを追って、ゲルダは山ぞくにとらわれ、雪あらしとたたかい、ついに北の果てにある女王の氷の城へたどりつく。アンデルセン童話の集大成といわれる名作の完訳版。

アンデルセン童話集 (単行本)


荒俣宏の新訳に、アイルランドの幻想派挿絵画家ハリー・クラークのカラー挿絵が悲哀と残酷を感動に変える。アンデルセン生誕200年に贈る極めつけの一冊。

アンデルセン童話集 1 改版―完訳 (1) (文庫)
アンデルセン童話集 2 改版―完訳 (2) (文庫)
アンデルセン童話集 3 改版―完訳 (3) (文庫)



jailz at 21:14│Comments(0)TrackBack(0) 

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