February 01, 2006

2006年本屋大賞ノミネート、恩田陸「夜のピクニック」のこと。

 少し前に、2006年の本屋大賞のノミネートが発表になった。

 あらすじだけ読むと、結構面白そうだなと思うものもある。
 僕がなんとなく読んでみたいと思ったのは、「サウス・バウンド」と「さくら」だった。

 しかし去年の本屋大賞、恩田陸の「夜のピクニック」を前に人から借りて読んだのだが、僕としては「大賞をもらうほどそんなにたいした本じゃないんじゃないか」というのが率直な感想だった。
 なんだか昔のコバルト文庫みたいな感じで、リアルな現実社会の厳しさや汚れから一歩ひいた、甘美な苦痛と夢と誤解に満ちた青春の一コマ、というのはまあそれはそれでいいのだが、いまいち語られること一つ一つに真実味が感じられず、全体的になじめなかった。
 主人公やヒロインやその友人たちが、ちょっと大人じみたことを言ってみたり、何かを悟ったような口ぶりで語り出すたびに、「なに言ってんだい」、と思ってしまう。

 描かれる彼ら自身が若くて青臭く未熟だということが問題なのではなく(青春時代とはそもそもそういうものだから)、それを後ろから見つめる作者の側の裏付けが、浅いように感じられた。
 そして少なくとも、そこに深みといったようなものは感じられなかったし、人物の描き方も、少女漫画並にめりはりが薄く、確固とした個性は感じられなかった。

 まあいろんな本があるわけだし、いちいち小説に「深み」なんて求める方が悪いのかも知れない。
 ようするに小説は、面白ければそれでいい。
 だからたまたま初めて読んだ「大賞」の本が、自分の生理に合わなかっただけなのかも知れない。
 でもそういうわけで僕にとっての本屋大賞は、ちょっと眉唾というか、半信半疑なところはある。

 今上映されている「博士の愛した数式」は、第一回本屋大賞の作品である。
 原作はまったく読んだことはないが、これはなんとなく面白そうだし、来月あたりに時間があれば見に行きたいなと思っている。
 それに僕は、深津絵里の芝居が好きなのだ。

 とりあえず、今年の本屋大賞に期待します。

 ●2006年・本屋大賞ノミネート作品

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本屋大賞 (2005) 本の雑誌増刊

「本屋大賞」は、2003年9月、現役書店員を中心にした有志実行委員によって創設された、全国の書店員が「いちばん!売りたい本」を決めるという、出版史上類を見ないユニークな「新」文学賞。第一回大賞作品は『博士の愛した数式』(小川洋子著/新潮社)で、受賞後の反響はすさまじく、約30万部の増刷がかかったそうです。


jailz at 22:18│Comments(0)TrackBack(0) 

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