November 19, 2005

「ダ・ヴィンチ・コード 愛蔵版」を読む

ダ・ヴィンチ・コード

 先週の日曜日に買った「ダ・ヴィンチ・コード」の愛蔵版を読み終えた。
 「ダ・ヴィンチ・コード」は1年半ぐらい前に出版され、ずいぶん話題になった。
 すでに全米で1,000万部超え、日本でも100万部超えと、売れに売れている。それに便乗して関連本が何冊も出たし、テレビでもダビンチに関する特集が何度か組まれた。

 僕も前々から、本屋で表紙を見かけるたびに読んでみたいなと思ってはいたのだが、上下巻合わせて3,780円もするし、分量的にもかなりの小説なので、なかなか手を出す機会がなかったのだが、たまたまこの間本屋に寄ったら、今まで見慣れた上下巻ものとは違う、「愛蔵版」という分厚い本が目に入った。

 愛蔵版は、全部で621ページ。
 そのうち本編が606ページ、残りは著者の謝辞、荒俣宏氏の解説、図版クレジット、である。
 A5よりも少し小さいぐらいの大きさのハードカバーで、本の厚さは5僂阿蕕ぁ手にとるとずしりと重い。税込で4,725円。

 上下巻合わせたよりも1,000円も高いのだが、この愛蔵版のもっとも大きな特徴は、本の帯にもあるとおり、小説に登場する絵やイラスト、建物の写真などがページのところどころにフルカラーで散りばめられていることである。
 帯に書かれた文章をそのまま抜粋すると、

「作中に登場する美術作品や建築物、場所、象徴など140点を収録。読んだ人にも、これから読む人にもおすすめ、小説の世界により深く接するための、豪華カラー版!
 絵画とともに、謎を解く旅へ−−」

 最初に出版された上下巻にはそういったものが何もないのに比べて(ただの小説なんだから当たり前なのだが)、たしかにビジュアル的に臨場感を持って読むことが出来るし、装丁も美しく豪華で高級感がある。
 ダ・ヴィンチのカラヴァッジョ、モナリザ、最後の晩餐、、などの絵画、ルーブル美術館、シャルトル大聖堂の異教徒の象徴、ウェストミンスター寺院などの美しい写真。
 手にとってページをパラパラと繰り、少し迷った末、買うことにした。
 そういう写真や図版つきで初めてこの「ダ・ヴィンチ・コード」を読めるのは、もっとも話題になった発売当初に上下巻で普通に読んでいたより得である気がした。
 魅力的である。
 それに考えてみるとこのところ忙しくてまともに本を読んでいないし、少し腰を落ち着けて、じっくりと小説を読んでみたい気分になった。

 とにかく面白かった、というのが、読み終えてみての感想である。
 読み出したら止まらない、徹夜してでも読みたい本、とよく紹介されているけれど、まったくそのとおりという感じで、期待を裏切らない内容だった。
 本当に面白くて、読むのをやめられない。
 僕は本を読むのは結構遅い方なのだが、そして毎晩結構仕事が遅いのだが、606ページもある小説を、正味5日たらずで読んでしまった。

 膨大な量になると思われる資料に裏付けられた学術的情報を大量に記述しながら、それをまったく難しいと感じさせることなく、読者を軽快に、ぐいぐいと先へひっぱていく力。緻密な取材と知識に基づいた、ストーリーテリングの巧みさ。
 読みながら僕は、高校生の頃、初めてマイクル・クライトンの「ジュラシック・パーク」を読んだ時の感触と、感動を思い出した。
 主題に据えられた大きな謎に向かって、結末まで一気に興味を引っ張られていく。先が気になって仕方がない。
 まさに長編ミステリ小説の醍醐味だ。
 そして結末はほろりとしんとして、心地のいい充足した余韻が残る。
 本当に面白い長編小説を読むことが出来た時の、たっぷりとした満足感がある。
 こういう知性と想像力に溢れた、頭のいいエンターテイメント小説が僕は大好きである。

 とにかく面白い、という点もさることながら、ダ・ヴィンチが絵画に隠したとされる暗号、聖杯伝説、キリスト教の歴史、十字軍、テンプル騎士団、シオン修道会、秘密結社フリーメーソン、マグダラのマリア・・・など、この本には様々な薀蓄が全編を通して展開される。小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいているということだが、読み進むにつれ、人類の精神の歴史について、多くの点で啓蒙される感覚を味わう。
 この本を読んだ後では、ダ・ヴィンチの絵や、キリスト教の成り立ちや、西洋文化の歴史などについて、今までとは同じ目で見られなくなってしまう。
 本当に面白い本・・・とりわけこういうエンターテイメント作品というのは、やはりそういうスリリングで、わくわくするような、今まで自分が知らなかったものとの出会いや発見があると思う。子供だましの派手な筋書きやアクションに終わらない。

 とにかく本当に、文句なく面白かった。
 本を読みながら、ルーヴルのあるフランスや、ロスリン教会のあるイギリスに旅行したくなってきた。

■ 05/12/27 投稿 映画『ダ・ヴィンチ・コード』 最新情報

・追記

web角川で特集が組まれているので、興味のある方はこちらをどうぞ。
 「立ち読み」ページで、冒頭からかなりの文章を読むことが出来ます。

  http://www.kadokawa.co.jp/sp/200405-05/

 それから、ダヴィンチ・コードは映画化されて、2006年5月19日に全米公開されるみたいである。
 主人公の大学教授はトム・ハンクス、ジャック・ソニエールの娘役にオードリ・トゥ・トゥ。
 僕は「ジュラシック・パーク」の時に、ずいぶんがっかりした記憶があるので、基本的には小説の映画化というのはあまり期待していないのだけれど・・・たぶん観に行かずにはいられないんだろうな。

 ダ・ヴィンチ・コード 映画公式サイト(ソニー・ピクチャーズ)
 http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/

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この記事へのコメント

1. Posted by Keity   November 21, 2005 11:37
はじめまして。TBありがとうございます。
愛蔵版を読まれたのですね〜。羨ましいかぎりです。
上下巻を先に購入した私には、さらに愛蔵版!とは、なかなか手が出なくて。。。
でもずーっとずーっと頭の片隅にあるので、いつかエイヤッ!って買ってしまうかもしれません(笑)

ヒデちゃんさん、演劇をされているんですね。

ブログを拝読していて、サラリーマンの傍ら演劇を続けている古い友人を思い出しました。
転居してしまい、観る機会がなくなってしまったのですが、当時は欠かさず公演に駆けつけていました。

長野在住であれば、ヒデちゃんさんの舞台を見に行ってみたかったです。
2. Posted by ヒデ   November 22, 2005 08:59
keityさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
オリジナル・グッズのデザインショップをやっておられるんですね。リーズナブルな料金だし、自分の好きなデザインでTシャツとかキャップを作れるというのはなかなかいいですね。僕も今度また舞台に立つようなことがあったら、記念に公演Tシャツでも頼みたいと思います。
芝居は高校1年の時からなので、かれこれ17年ぐらいやっています。最近は一年に一公演ぐらいのペースです。ブログでも紹介していきますので、機会がありましたら是非お越し下さい。
3. Posted by Keity   November 22, 2005 11:29
ヒデさん、嬉しいコメントありがとうございます。

マイスターエッグは、私がやっているショップではなくて、友人がやっているんです。私はブログでお手伝い〜。
オリジナルグッズが1品から作れるので、重宝しています。

個人的には、所属する水上スキーチームのチームTシャツなんかを作って楽しんでいます。

公演Tシャツ!良いですね〜。

劇場の入り口。
顔見知りのスタッフの人が”もぎり”をしていて、少し照明を落とした、ざわざわとした観客席へ・・・。

友人の劇団は小さな場所を借りて公演していたので、狭く窮屈な観客席でした。でもそれが何だか一体感を生むようだったのを覚えています。

出産育児転居などですっかり観劇から遠のいてしまいました。
機会があれば、是非観させてください。
・・・でも長野は遠い〜(笑)

ブログでの公演ネタ、楽しみにしていますね。
またお邪魔させてください。
4. Posted by THOM   December 01, 2005 20:00
はじめまして!TBさせて頂きます。
丁寧ないいレビューですね。
ぼくも今「愛蔵版」で読み返し中ですが、早速止まりません。と同時に話が進んで残りページが少なくなるのが少し残念で。。。

来年公開の映画にも期待したいですねー。キャストは少し「ん?」ですが。

また遊びにきますね!では。
5. Posted by ヒデ   December 02, 2005 18:44
THOMさんはじめまして。
コメントありがとうございました。
そちらのブログも拝見しました。なかなか楽しいブログですね。
「愛蔵版」、僕も読みながら、残りわずかだと思ったら残念な気持ちになりましたよ。

「エリザベスタウン」ですか。僕も見てみたくなりました。
6. Posted by THOM   December 02, 2005 22:27
遊びにきていただいてありがとうございます!
「エリザベスタウン」も是非観てみてください。
持て余しているようで、でも全力投球な演技も見物ですよー。
またちょくちょく覗かせてもらいますねー。
7. Posted by iceblue   December 24, 2005 18:03
TBありがとうございます。

ダヴィンチ・コード、“愛蔵版”なるものが出てるんですね。知りませんでした。
絵やイラストや写真付きだそうで、なるほど、それがあればもっと、もっとこの本を楽しめると思いました。

映画の前にもう一度読み返してみたいです。もちろんこの“愛蔵版”の方を^^。
8. Posted by ヒデちゃん   December 25, 2005 10:40
iceblueさん、コメントありがとうございました。
愛蔵版、本当にいいですよ。
一度読んだだけで本棚にしまってしまうにはもったいないぐらいです。
薀蓄が豊富で奥が深いし、写真や図版も美しいし、長い小説だけどもう一度読み返したいなと思っています。
ぜひお買い求めになって、読んでみてください。
9. Posted by 廣瀬マオ   December 26, 2005 13:37
 はじめまして。廣瀬と申します。トラックバックありがとうございました。
 とてもわかりやすく丁寧なレヴューをお書きですね。わたしは図書館で借りて読んだのですが、記事を拝読しながら、やはり手もとにほしいものだと思いました。
 映画化は、楽しみなような不安なような、ですね。個人的に“夢の配役”だったもので、すっかり目がくらんでいますが、どうなることでしょう。
 ところで、『オペラ座の怪人』をお好きなのですね。わたしも大好きな映画なので、うれしいです。お書きになったシリーズ記事、とても興味深く拝読しました。
 それでは、失礼いたします。
10. Posted by ヒデ   December 27, 2005 08:22
廣瀬さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
映画は僕も楽しみに(ちょっと複雑な気持ちで)しています。トム・ハンクスとジャン・レノという組み合わせは、少し濃すぎるような気もしますが。
いろいろと、映画を見ておられるようですね。僕は最近忙しくて、ほとんど見てないのでうらやましいです。また遊びに行きますね。
11. Posted by 廣瀬マオ   February 20, 2006 19:03
 ふたたびお邪魔いたします。
 このたびわたしも『ダ・ヴィンチコード ヴィジュアル愛蔵版』の記事を書いたので、トラックバックさせていただいたのですが、手違いで二度送ってしまったようです。
 たいへん申し訳ないのですが、お手透きのときにでも片方を削除していただけますでしょうか。
 お手数をかけますが、よろしくお願いいたします。

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