April 10, 2005

日本語表現大辞典

 ついこの間、日経新聞の一面の下の方にこの本が紹介されていた。
 会社で昼飯を食べながら、なんの気なしに記事を読んでいたのだが、これがなかなか面白そうだったので、すぐにネットで調べてみた。
 本の帯には、
 ”「夕方」をどうイメージ表現する?「痛い」の比喩表現は?「青い」の類語は?
 日本を代表する作家の名表現が「言葉の悩み」をたちまち解消!!”
 とあり、
 「あの時、この言葉遣いを知っていたら、うまくいったのに」(永六輔)
 「心模様を巧みに織り上げてくれる辞典」(飯田朝子)とある。
 つまりどういう本かというと、作家264人、作品数868の中から、その比喩や文章表現をあいうえお順に三万三八〇〇例集めたものである。しかも著者の小内一(おないはじめ)さんという人が、約十年ぐらいのうちにたった一人で集めたというから驚きである。
 僕は昔から辞書、事典のたぐいがわりと好きなのだが、こういう種類の本は結構めずらしいし、面白そうなので、さっそくネットで注文してみた。

 それが二日前に届いた。
 その中のほんの一部を紹介すると、たとえば「愛する」という言葉では、
 ・体がバラバラになるほど愛される(半村良)
 ・溺れるように夫を愛する(川端康成)
 ・待たせた時間を埋めようとするかのように激しく愛する(落合恵子)

 「苦しい」という言葉では、
 ・息の根がとまるかと思うくらい苦しむ(吉本ばなな)
 ・青竹を炙(あぶ)って油を絞るほどの苦しみ(夏目漱石)
 ・人類の苦悩を一人で背負ったような顔(富岡多恵子)
 ・瞳が、人妻を奪う罪深い男の苦悩をありありと刻む(菊池寛)
 ・燃えつきようとする日の最後の輝きのような苦悶と恍惚に彩られた顔(加賀乙彦)

 「感動」では、
 ・熱いものが腹の底から湧き上がって来る(平岩弓枝)
 ・膝頭がガクガクするような気がする(高橋和巳)
 ・全身が凍えるような感動を覚える(久間十義)
 ・戦慄に似た感動を覚える(三浦綾子)
 ・言葉にしようとすると消えてしまう淡い感動を胸にしまう。
 
 などなどである。
 こういうのを眺めていると、日本語の表現というのは本当に豊かで繊細なものだなあとあらためて感心します。
 「驚いた」とか「腹が立った」とか「面白かった」とか、自分の誤謬が少ないせいで、いつもだいたい適当な言葉、パターン化した言葉ですませてしまうのだけれど、それをステレオタイプではない、個人的体験として、どう他人にきちんと伝えていくか、どのようにリアルなイメージを伝えていくか、そういうことを考えさせられます。
 
 欲を言えば、マイクロソフトのエンカルタやブックシェルフみたいにCD−ROM版で販売して欲しいところだけど。
 でも特に目的もなく、ぱっと開いたページを読むのもまた楽しいし、意外な発見があったりして、これはこれで悪くない。
 自分のブログの文章表現に飽きた時、ちょっと手にとって眺めるにはいい本だと思います。

 日本語表現大辞典――比喩と類語三万三八〇〇

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jailz at 16:30│Comments(1)TrackBack(0) 

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この記事へのコメント

1. Posted by sasa   April 11, 2005 12:47
トラックバック、ありがとうございました。僕はまだ読んでいないのですが、このエントリーを読んで、早く読みたくなりました。おもしろそうですね。早速近くの本屋で探してみます。

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